【2024年度】日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度とは?最新情報も

  • 大学受験

高校や大学進学時に、「学びたい!」というお子さまの気持ちを応援してくれる奨学金制度。
奨学金を利用したいけれど「種類がありすぎてわからない」「制度が複雑で難しい」と思っている保護者のかたも多いのではないでしょうか?

今回は、国が実施していて、最も利用者が多い「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金制度についてご紹介します。奨学金の種類や支給金額、申し込み方法などを知り、ご家庭で奨学金について話し合ってみてくださいね。

この記事のポイント

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度とは?

そもそも奨学金とは?

奨学金とは、経済的な理由で高校や大学への進学が困難な学生に対して、学資金を給付または貸与する制度です。大学や地方自治体、民間などさまざまな機関が奨学金を取り扱うなか、国が実施しているのが「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金です。

大学生の約37%が利用しており、利用できるのは、高等学校・高等専門学校・大学・短期大学・専門学校・大学院などに通っている生徒や学生、場合によっては既卒生であっても利用できます。

日本学生支援機構の奨学金には「給付型」と「貸与型」がある

日本学生支援機構の奨学金には大きく見て「給付型(もらう)」と「貸与型(借りる)」の2種類があります。

  • 給付型奨学金 = 原則として返還が不要
  • 貸与型奨学金 = 返還が必要

貸与型奨学金では、卒業後に奨学金を返還するのは親ではなく本人です。親子で「子ども本人が借りているお金」と認識してから借りるようにしましょう。

さらに、貸与型奨学金の中には無利子タイプの「第一種奨学金」と、有利子タイプの「第二種奨学金」があります。

  • 第一種奨学金(無利子)… 借りた金額      = 卒業後に返還する金額
  • 第二種奨学金(有利子)… 借りた金額 + 利子 = 卒業後に返還する金額

ご家庭の収入次第では、第一種と第二種は併用可能。

「給付型奨学金」「第一種奨学金(無利子)」「第二種奨学金(有利子)」で、申し込み資格や採用基準も異なるため、まずは奨学金を返還する必要がない給付型から見ていくのがおすすめです。

日本学生支援機構の奨学金採用のために知っておきたい4つのこと

1.奨学金の採用のための条件「学力基準」と「家計基準」とは?

日本学生支援機構の奨学金に採用されるには、「学力基準」と「家計基準」の2つの条件があります。

  • ・学力基準…必要な学力の基準
  • ・家計基準…生計維持者の収入金額や資産額の基準

学力基準と家計基準は、奨学金の種類によって以下のように異なります。

※日本学生支援機構公式ホームページ参照

家計基準は収入・所得の金額だけでなく世帯の人数なども加味し細かく設定されています
基準に該当しているかの判断は、一度「進学資金シミュレーター」で調べてみましょう。
>>進学資金シミュレーター

給付型は一番条件が厳しいですが、返還する必要がないため、給付型→第一種→第二種の順番で、対象になるかならないかをチェックしていくのがおすすめです。

2.給付型奨学金と貸与型奨学金の支給額は?

給付型奨学金は「自宅か自宅外か」「国公立か私立か」によって支給額が異なる

日本学生支援機構の給付型奨学金は、「給付型奨学金の支給」と「授業料・入学金の免除または減額」の2つがセットになっています。

※日本学生支援機構リーフレット参照

大学であれば、自宅外通学は自宅通学の約2倍の奨学金の支給があります。
国公立と私立では、奨学金の支給額の差はそれぞれ約1万円です。

※日本学生支援機構リーフレット参照

上の表は住民税非課税世帯〈第1区分〉の場合です。
入学後3か月以内に申請し支援対象となった学生のみ、入学金の免除・減額が受けられます。

2024年4月より支援対象が拡大し、子どもが3人以上の世帯や対象となる理工農系の学科に通う学生の利用が可能になりました。

貸与型奨学金は「第一種」と「第二種」でも貸与額が違う

【第一種(無利子の奨学金)】

※日本学生支援機構公式ホームページ参照

第一種(無利子の奨学金)は「自宅通学か、自宅外通学か?」「大学は国公立・私立のどちらか?」で、貸与金額の設定が異なります。

【第二種(有利子の奨学金)】

※日本学生支援機構公式ホームページ参照

第二種(有利子の奨学金)は「大学の学部」で、貸与金額の上限が違います。

第一種・第二種ともに、奨学金の申し込み時に希望の貸与金額を選択するため、奨学金を検討する段階で、月額いくら借りるのかを親子で話し合う必要があるでしょう。

3.第二種貸与型奨学金の貸与利率はどれくらい?

第二種貸与型奨学金の場合、返還する際に利子が上乗せされます。
利率の種類は、利率がずっと変わらない「利率固定方式」と、約5年ごとに利率が見直される「利率見直し方式」の2種類。

2024年3月に奨学金の受け取りが終了した場合、下の利率(年利)がかかります。

  • 利率固定方式   0.94%
  • 利率見直し方式  0.4%

一般的に、お金を借りる時は利率がわかったうえで申し込むものですが、貸与型奨学金の場合、利率がわかるのは貸与終了時です。

過去の貸与利率を参考に、固定か変動どちらの利率にするか考えてみるとよいでしょう。
>>第二種奨学金の貸与利率(JASSO)

奨学金申し込み時に「固定」か「見直し」かの返還方式を選択する必要がありますが、この返還方式は進学後に変更可能なので安心してくださいね。

4.返還はいつから始まるの?

奨学金の返還は、貸与が終了して7か月目から始まります。つまり3月に卒業したら、10月から返還開始です。返還方法は、口座振替(リレー口座)で行われ、貸与終了後の翌月から繰上返還ができます。

借りた金額を前払いする繰上返還を行うことで、支払い期間が短縮でき、利子を減らすことができます。第二種(有利子)のかたは、無理のない範囲で検討してみてください。

ここで、具体的な例を挙げて返還シミュレーションを見てみましょう。

【返還シミュレーション例

※日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーションより算出

有利子タイプの第二種奨学金を大学在学中に月5万円利用した場合、利率固定方式で返還した場合、返還期間を15年とすると月々の返還額は約1万4,000円でした。

日本学生支援機構の奨学金を申し込む方法

日本学生支援機構の奨学金の申し込みは、進学前に申し込む「予約採用」と進学後に申し込む「在学採用」の2種類があります。

予約採用

予約採用は、在学している高校などを通じて申し込む方法で、進学先の学校が決まっていなくても申し込むことができます。必要な手続きや申し込み期間は通っている高校に確認しましょう。

ただし、給付奨学金の場合、進学先の学校が日本学生支援機構の奨学金の対象になっていないと利用できないため、希望大学が対象かどうかはあらかじめ調べておく必要があります。また、貸与奨学金の場合、大学・短期大学・高等専門学校については全て対象となりますが、専修学校(専門課程)については対象の学科が決まっています。

日本学生支援機構の奨学金を扱っている学校の一覧はこちらです。
(給付奨学金)
>>高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト(令和5年10月時点)
(貸与奨学金 ※専修学校(専門課程)について)
>>専修学校(専門課程)の貸与奨学金対象学科登録校

在学採用

在学している大学や専門学校で申し込み手続きを行う方法です。原則として春と秋に奨学生の募集があり、申し込みは在学している学校の奨学金窓口で行います。

入学後早めに奨学金窓口へ出向き、申し込み期間や準備する物をチェックしておくとスムーズです。予約採用で不採用になった人も申し込みできます。

予約採用・在学採用ともにマイナンバーの提出が求められるため、マイナンバーを持っていない場合は、事前に準備しておくと申請時にあわてなくてすみます。

まとめ & 実践 TIPS

国が実施している「日本学生支援機構(JASSO)」の奨学金制度。大きく分けて、返還のない「給付型」、返還はあるけれど利子のない「第一種貸与型」、返還があり利子がつく「第二種貸与型」の3種類があります。

奨学金の種類によって採用条件や支給額が異なるため、ご家庭の収入状態や進路に合わせて検討しましょう。奨学金の返済はお子さま自身で行うため、ご家庭でよく話し合い、家族全員が納得できる選択肢が持てるとよいですね。

プロフィール


海田幹子

教育・育児、マネー等について執筆。現在、小学生2人の子育てに奮闘中。

  • 大学受験

子育て・教育Q&A