私立大学の半数近くで共通テスト利用入試
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2022年度の大学入試で、大学入学共通テストを利用して合否を判定する私立大学が半数近くになったことが、文部科学省の委託調査でわかりました。
21年度入試から共通テストの創設をはじめとした大学入試改革が進められましたが、実施直前になって記述式問題(国語・数学)の導入や英語民間試験の活用などが次々と見送られました。個別学力検査も含め、実態はどうなっているのでしょう。
この記事のポイント
入学者は学校推薦型が一般を上回る
選抜区分別の割合は、一般選抜が43.3%、学校推薦型選抜(旧推薦入試)が26.9%、総合型選抜(旧AO入試)が16.8%などとなっており、国立大学では一般選抜が49.1%と多めです。
実際の入学者は、それぞれ49.7%、36.7%、13.6%。国立大学では一般選抜の入学者が82.6%に上っていますが、国立大学協会は推薦・総合型などの入学者割合を30%に引き上げる方針を示していますから、選抜方法の多様化は今後も広がるとみられます。
私立大学では、一般選抜での入学者が41.7%にとどまっており、学校推薦型のほうが42.4%とわずかながら多くなっています(総合型選抜は15.9%)。
国立大は総合型選抜でより多様な学力求める
共通テストのみで合否判定する選抜区分の割合は、国立大学で6.9%、公立大学で6.1%と少数派ですが、私立大学では36.2%と約3分の1に上っています。
個別選抜との合算方式を加えると、国公立では90%以上、私立でも45.6%と半数に迫ります。共通テストを受験しておくと、出願大学が広がることは確実です。
大学入試改革では、推薦型や総合型であっても、知識・技能などの学力をしっかり把握することが求められます。そうしたなか、国立大学では、共通テストを利用する総合型選抜が、2020年度の31.4%から22年度は23.6%に低下しています。多様な選抜資料により、共通テストよりも幅広い学力を見ようとしているものとみられます。
国公立で記述式対応は必須
英語の資格・検定試験を活用するのは、一般選抜で24.3%、総合型選抜で33.9%、学校推薦型選抜で26.0%あり、国立大の一般選抜でも15.3%となっています。
これを利用して入学した者は13万3,263人(うち国立1万4,762人)に上ります。
記述式問題(短答式を含む)の出題は、国立大と公立大で共に99.9%、私立大で40.2%となっており、国公立を志望するには記述式への対応が必須です。
まとめ & 実践 TIPS
以上さまざま紹介してきましたが、あくまで「入試」方法の話です。
大学入試改革を含む「高大接続改革」では、高校までにしっかり学力を付けてもらい、それを大学入学後さらに伸ばす一環として大学入試を位置付けているからこそ、「高大接続」の「改革」なのです。
受験競争の激しかった保護者世代に比べれば、今は全体として大学に入りやすくなっています。入試にさえパスすればいい、と安易に考えるのではなく、学習意欲なども含め、大学側がどんな学生を求めているかをきちんと把握し、準備する姿勢が今後ますます求められます。
大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1418400_00001.htm
高大接続改革
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/index.htm
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