【進路のプロが教える!新課程の共通テスト(2)】スピード&読解力がカギ!英語・国語・数学の特徴を徹底解説
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保護者世代から大きく変わった大学入試。
さらに、現高1・高2生のお子さまは「新課程」に対応した共通テストを受験することになります。お子さまにも保護者のかたにも知っておいていただきたい「新課程」の共通テストを松崎講師が解説するシリーズ2回目は、英語・国語・数学の3教科の変更点や対策のポイントをお伝えします。
共通テストに向けて今知っておくべきこと・やっておくべきことをインタビューするシリーズ【進路のプロが教える!新課程の共通テスト】。
初回となった前回は「共通テストのキホン」と題して、松﨑講師が試験の概要や新課程の変更点をお伝えしました。
【進路のプロが教える!新課程の共通テスト①】意外と知らない「共通テストのキホン」
前回、松﨑講師は最後にお子さまに向けてこんなメッセージを伝えていました。
シリーズ第2・3回目では、そんな得意科目づくりにも役立つ、科目ごとの特徴を徹底解説します
今のうちから新課程の変更点を把握し、それに応じた対策・勉強法に取り組むことで、大学受験でも一歩リードすることができます。
保護者の皆さまにとっても、旧センター試験から受験制度が大きく変わったことに加え、新課程で問われる力も変わっていくことを知ることで、お子さまに対して適切な声かけができるようになります。
今回は主要3教科、英語・国語・数学を取り上げます。
【英語】大きな変更はない。処理スピードを上げるために「勉強の質」を意識する
まず英語は、新課程になっても大きな変更はなさそうですが、ディスカッション、英作文のリライトなどの問題が加わると予想されています。
そんな英語でカギとなるのが「処理スピード」。
英語を勉強するときは、日頃からいかにスピード感をもって英文を読み解けるかを意識しましょう。
読解問題のみで構成されるリーディング
※2023大学入学共通テスト 本試験 英語より作成 ※語数は概算
共通テストの英語リーディングは、文法や語彙(ごい)のような知識のみを問う問題がなく、読解問題のみで構成されています。
旧センター試験と比べて、大量の英文を素早く・正確に読み、効率よく問題を処理しなければならないため、高いレベルの情報処理力や思考力が求められます。
このような処理スピードを上げるために、語彙力・文法力がとくに大事になってきます。
たとえば、英単語を「覚える」でも、2~3秒考えれば出てくるのではなく、脊髄反射で、考える時間すらなく出てくる状態を「覚える」とすること。
この単語一つひとつの積み重ねが、処理スピードを大きく上げることに繋がります。
英語では、単語の覚え方ひとつで差がつくといえるほど処理スピードが大切になってくるので、普段の勉強でもスピードを上げることを常にテーマとして考えておくとよさそうですね。
また、新課程の共通テストでは表現力も大切になると予想されています。
このような英作文のリライトでは、英語での表現力や論理的な文章を書く力も必要です。
リスニングは、30分間ずっと英語を聞き続ける集中力が必要
※2023大学入学共通テスト 本試験 英語より作成 ※語数は概算
英語リスニングは、前回もお伝えしたように、1日目の最後の科目として実施され、30分の機材説明等のあとに30分間の試験が行われます。
疲れに加えて、長い説明時間で集中力を欠く状態で試験を受けてしまうお子さまも例年多くいるため、模試などで30分間ずっと集中力を維持することを意識して練習しておくと、本番で生かせます。
リスニングの対策自体は、やはり「時間をかけて耳を鳴らす」ことがすべてです。
趣味に合わせたり、ついでにやったり、楽しみながらでも、とにかくできるだけ早くから耳を慣らして、連語も聞き取れるように完成度を高めることが大切です。
リスニングは短期間で対策することが難しい、とよくいわれます。
それだけ対策に時間がかかる科目なので、お子さまの趣味・趣向に合わせて、普段の生活の中で英語音声に慣れることができる工夫や環境づくりでサポートすることも大切です。
【国語】新課程で最も試験時間が長い科目に!
国語は、新課程の共通テストで変更がある科目のひとつです。
大問が増え、図やグラフを含む文章の出題が予想される!試験時間も全科目で最長に
※2022年11月発表 令和7年度大学入学共通テスト試作問題 国語より作成 ※紹介している配点は、今後の検討により変更される可能性があります
国語はまず「近代以降の文章」の大問が1つ増え、各大問の配点も変更されます。
国語では読解力はもちろん、素早く正確に情報を処理する力も問われるようになることが予想されるため、文章の読み方や内容整理を意識することが対策として有効になりそうです。
また、試験時間が90分に変更され、全科目で最長の試験時間になります。
出題意図を考える現代文、得点力の土台にする古文・漢文、このセオリーは新課程でも同じ
新課程になっても、国語の対策は基本的に大きく変わることはなさそうです。
現代文は、設問文から何が問われているかを考えることがポイント。
古文・漢文にも通じることですが、前後の文脈を併せて理解する、文章中に書かれていることを見つけることが大事です。
現代文がニガテな人は、文章中に書かれていないことを予想してしまうパターンが多いので、客観的に読み進めることが必要です。
入試での読み解き方という、いわゆる受験テクニックを身に付けることは、進研ゼミ高校講座の国語・編集担当者もポイントとして挙げています。
また、古文・漢文は国語の得点源にもなる科目なので、高1でニガテ意識を持っているお子さまはこれからしっかり対策することで、国語で安定して高得点が取れるようになる可能性があります。
古文単語にしっかり取り組む、文法・句法のルールを理解して覚える、この2つのポイントを意識した勉強をすることで、国語の得点源にすることができます。
【数学】新課程で大きな変化があった教科!早く正確な計算が得点UPのカギ
数学は、新課程で大きな変更点があった教科のひとつです。選択する単元を決めることで効率的に対策が進められるので、まず出題内容をしっかり把握しましょう。
新課程で時間が伸びるも、負担は増大?今から選択する単元を決めておこう
2科目ある数学のうち、まず数学①は、試験時間と問題数は変わらないものの、選択問題がなくなり、全問必答となりました。
※2022年11月発表 令和7年度大学入学共通テスト試作試験 数学Ⅰ・数学Aより作成
数学②は大きな変更があり、数学Cも範囲となり、数学B・Cの4問から3問を選択することとなりました。
※2022年11月発表 令和7年度大学入学共通テスト試作試験 数学Ⅱ・数学B・数学Cより作成
どの問題を選択するかを前提に取り組む単元を決めておくことで効率的な対策ができるので、こうした変更点をお子さまにも伝え、今のうちからどの問題を選択するかを意識しておくとよいでしょう。
また、ここでは試験時間が10分長くなりますが、解答すべき大問も4問→6問に増えているので、時間内に解ききるにはスピードも求められます。
処理スピードと各単元の抜け漏れがないように対策するのがポイント!
共通テストの数学は、図や会話文などの文章が増えたり、日常生活の中の数学的な事象を考える問題が出題されたりと、まず「何が問われているのか」を理解することが大切です。
また、複数の単元の知識を使う問題が出題される可能性もあるため、単元の抜け漏れをなくし、ニガテを作らないようにする対策がポイントになります。
新課程の数学②ではとくに処理スピードが求められるようになり、80点超をめざすお子さまは時間内に解ききるスピードを身に付ける必要があります。
そのために今からできる対策を教えてくれました。
解法の手順を説明できるくらいの深い理解と再現性を身に付けておくと処理スピードは圧倒的に上がります。
また、模試の別解にも着目し、さまざまなアプローチで問題を解けるよう意識しておくと効果的です。
今回は、英語・国語・数学の新課程の共通テスト対策を解説してもらいました。
新課程の変更点をおさえることで、普段の勉強の取り組み方や対策も変わってきます。だからこそ、新課程の共通テストの情報を知っておくことで、お子さまは勉強に生かすことができ、保護者の皆さまもお子さまの悩みに共感したり、適切な声かけをしたりすることができます。
シリーズ【進路のプロが教える!新課程の共通テスト】、次回は地歴・公民と理科をそれぞれ詳しく解説します。
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