【まとめ】2年目を迎えた大学入学共通テストの傾向と対策
実施2年目を迎えた大学入学共通テストは、数学Ⅰ・Aの平均点が37.96点とセンター試験含め過去最低となったことが話題となりました。2年分の共通テストを通じての出題傾向と今後の対策について紹介していきます。
・【地歴公民】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 2年目を迎えた傾向と対策
・【国語】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 国語の出題傾向と高得点をとるためのポイント3つ
・【英語】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 リーディング・リスニング、昨年度との違いと今後の対策
・【理科①・②】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 今後の対策のカギは、情報を『読み解く力』と『整理する力』
・【数学】2022年1月大学入学共通テストを徹底解説 昨年と比較した共通点・相違点まとめ
高校生の「問い」を起点に、探究活動を追体験させる出題に特徴
1990年から実施されてきた大学入試センター試験(以下、センター試験)が、2021年1月から大学入学共通テスト(以下、共通テスト)になり、今年で2年目を迎えました。
共通テストでは、高校生の授業や日常生活で生じた「問い」を起点とする場面設定を用い、問題を解いていくことで探究活動のプロセスを追体験させる出題に特徴がありました。
そして問題の場面設定で会話文を用いた出題が地理・歴史・公民(社会)などで多くみられ、社会ではそれぞれの科目で10名前後の人物が登場しました。
一方で化学基礎や化学では実験などの場面設定はあるものの、本試験・追試験含め高校生などの人物が一切登場しませんでした。共通テストで特徴的な会話文による出題ですが、教科・科目によってその傾向が定着するかは、今後も注目したいポイントです。
・2021年度の大学入学共通テスト 5教科7科目の中で特徴的だったことは? 今後の出題予想と対策も
状況説明のための会話文により、問題文の文字量が増加
これまでのセンター試験では2~3行程度の設問文をもとに出題されていました。しかし共通テストでは、設問文に至るまでに場面や状況を説明する会話文が追加され、さらに設問文の長文化も目立ちました。
例えば、昨年の共通テストと一昨年のセンター試験の地理Bを比較すると、共通テストでは会話文などのリード文の分量が大幅に増加しており、センター試験に比べ問題の条件把握に時間がかかったと考えられます。
会話文は、高校生が「問い」の生じた場面やその後の探究活動をイメージしやすくなる反面、会話文から解答に必要な条件・要素を選別する手間、さらに話者別での立場・意見の違いの把握が必要となるため、見た目の文字量よりもその読み解きに時間がかかります。
場面設定の説明に会話文を用いることは、受験生に主体的な学習をイメージさせやすいものの、説明のための文字量の増加を招き、受験生の解答時間を圧迫しかねないため、共通テストで今後どのような調整がなされるのかは注目したいところです。
1問あたりの解答時間は10年前とほぼ同じだが「時間の足りない試験」に
では共通テストとこれまでのセンター試験では、1問あたりの解答時間にどのくらいの違いがあるのでしょうか。
まず今年の共通テストと10年前のセンター試験で解答数を比べると、英語や公民科目などでは5以上減少していますが、それ以外の教科ではほぼ変化がみられず、国語にいたっては10年前と同じ解答数でした。
さらに試験時間を解答数で割ったところ、1問あたりの解答時間はおおよそ2分程度でした。しかし会話文や読み込みが必要な資料の増加、また英語では10年前と比べ2倍近くの語数になっていることなどからも、1問にかけられる時間はさほど変わらないものの答えを考える時間は圧迫されて、「時間の足りない試験」となった受験生も多かったと思われます。
解答時間を記録するなど、時間配分を意識した対策を
来年以降の共通テストの対策として基礎基本の徹底はセンター試験のときから変わりがありません。また高校生が普段の授業で「問い」を立て、主体的な学習を心がけることで、共通テストでの特徴的な出題にも対応しやすくなります。
しかし知識・理解が十分であっても、分量の多い問題文を的確に読み解けなければ得点に結びつきません。そこで過去問や実戦形式の模試を解く際には、こまめに解答時間を記録するなど時間配分を意識した対策が必要です。
具体的には、最初は実際の試験時間を考えずに、解き始めから大問ごとの解き終わり、国語や英語などでは問題文の読み終わりなど、区切りの時間(ラップタイム)を記録していきます。そして問題を解き終えたあとは、大問ごとの所要時間、英語や国語であれば問題文を読むのにかかった時間などを書きだして、「どこでペースを上げられるか?」を検討していきます。
このように過去問や実戦形式の模試を使った時間配分の検討も、問題文の多い共通テストでは重要な対策と考えています。
まとめ & 実践 TIPS
2年目を迎えた共通テストは、会話文を中心に問題文の分量が多い傾向が継続しました。次年度以降の共通テスト対策として、基礎基本の定着や主体的な学習に加えて、時間配分を意識した対策もより必要となりそうです。
株式会社プランディット 社会課 十河(そごう)
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、小学校から高校向けの社会(地歴公民)の教材編集を担当。
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