模試の結果を成績アップにつなげるコツ 本当の模試活用法とは?

模試は本番入試の形式に近いという意味で、貴重な体験ができる機会です。
一方で、一度受験したら結果を待つだけの本番入試と大きく異なるのが「受験した結果を振り返ることで、次に活かせる=成績を伸ばしていける」という点です。
では、どのような点に留意すれば模試を受けた結果を次に活かせるのか、そのポイントについて考えていきましょう。
なお、今回の内容は大学入試を中心としたものとなりますが、同じようなことは高校入試・中学入試でも言えます。

この記事のポイント

「模試が本番入試に近い」という意味

学期に1回、2回と実施される「定期テスト」は、一般的にその学期内で学んだ内容からの出題となるため、出題範囲が狭く、テスト前勉強も取り組みやすいと言えます。
ところが模試は、例えば高2の秋に実施されるものだとすると、全国の高2生がその時期までに学習している全内容が出題範囲となることが多いため、「ここだけを復習しておけばよい」ということができません。
また、本番入試では大学によって出題範囲が異なりますが、高校3年間で学んだ全範囲が出題対象となるため、総合的な学習が求められます。
つまり模試では、日々の学習の積み重ねの努力が問われるという点で、本番入試に近いと言えます。日々の学習をしっかりしていれば結果がついてくることがわかるので、模試は継続的に学習することの大切さを知るとてもよい機会でもあります。

  • ・模試はそのときまでに学んだ内容すべてが出題範囲となる
  • ・日々の学習の積み重ねの努力が反映されるという点で、本番入試に近い

結果を最大限活かすことが、本当の模試活用法

では、本番に近い体験ができる模試を通じて、どうすれば成績を伸ばしていくことができるのでしょうか。それには、冒頭にも申し上げた「結果の活用」がとても重要となります。
模試を受験すると成績が返ってきますので、まずは返却までの間に、解答解説を大切に保管しておくことから実践しましょう。
返却される成績は一般的な学校の定期テストで示される「合計点数」「正解したところ・間違ったところ」「平均点」以外にも、次の項目もわかるようになっています。(模試の種類や実施会社によって内容は異なります)

・偏差値(点数が高い・低いではなく、受験生全体に対して相対的に自分がどの位置にいるか:平均で偏差値50)
・設問別の得点や平均点
・どの部分ができていて、どこを苦手にしているか
・志望大の合格可能性

これらを活用することで、「さらに伸ばしていけるところ」「クリアしなければならない苦手部分」を区別し、メリハリをつけた学習につなげ、成績を伸ばすチャンスを得られるというわけです。

  • ・詳細な結果が返ってくることで、現状の自分を把握できる
  • ・結果を活かせば、メリハリのついた学習ができ成績を伸ばすことにつなげられる

戦略的な点数の取り方・時間配分を、実戦でつかめる

結果を最大限活用することが重要なのは前述のとおりですが、「本番に近い」模試は、その取り組み方を工夫することでも、成績を伸ばすヒントが得られます。
そのヒントをいくつか見ていきましょう。

●解く順番を工夫して合格ラインを超える

本番の入試では、100点満点が求められるわけではありません。試験内容の難易度により一概には言えませんが、合格ラインの点数は一般に、6~7割くらいが多いようです。この合格ラインが意味することは、「出題範囲を完璧に押さえなくても、合格ラインに到達する」というものです。
これを、本番に近い模試でどのようにとらえるかというと、「限られた試験時間内で、全体と問題数を眺めながら問題ごとの時間配分を決め、解ける問題から解いていって部分点を積み重ねていく」ということです。
つまり、やみくもに第1問から全力投球、ではなく、「できるところから確実に解いていく」という、試験への取り組み方を模試で経験することができ、それを本番入試につなげていくことができるのです。

●確実に解ける問題を押さえていくために

ここでは、数学を例にとって少し詳しく見ていきましょう。
数学の模試や入試の大問には、各分野の基本事項が問われる小問集合と、ある特定分野を主テーマにした大問とがあり、後者には多くの場合、3~4問程度の小問が設定されています。そしてその多くの大問では、前半の小問が比較的取り組みやすく、後半は難しいものとなっています。すると、「ある大問1つにこだわってそればかりを解いてタイムアップ、ほかの問題は見ることもできなかった」という対応では、本番では完全に失敗となります。
しかし例えば、基本問題が集まっている小問集合で8割とり、応用問題も含まれる他の大問はそれぞれ前半部分までを解く、といった方法をとると、トータルで6~7割の得点ができ、合格ラインに到達できるというわけです。

●得意・苦手の自覚を模試でしっかりと

ここまで申し上げてきたとおり、入試で100点満点をねらう必要はありません。誰にも得意なもの・苦手なものはあり、それは学習でも同じです。得意なところをしっかりと伸ばして得点源にすること、苦手部分は基礎をおろそかにせず地道に積み上げていくこと。本番入試では、場合によって苦手部分を捨てるという選択肢も考えられます。
そのようなメリハリをつけるのは、ふだんの学習ではなかなか難しいでしょう。そこで、模試の出番です。本番に近い模試で試験への対応の仕方も意識すれば、その後の学習において重点的に取り組む部分などが見えてきて、成績アップにつなげていくことができます。

  • ・合格到達ラインを意識して、解く順番や時間配分を決める
  • ・得意・苦手に応じた試験への対応の仕方を意識し、その後の学習に活かす

まとめ & 実践 TIPS

模試は学校の定期テストと違い、何千人もの受験者がいることが多く、場合によっては全国数万人がライバルになるケースもあります。しかしそれは、現状の自分を把握するための絶好の機会でもあり、ふだんの学習では決して得られない、貴重な経験となります。本番を意識して受験すること、そして結果を最大限活用して次につなげること。これらを実践することで、模試を通じて成績を伸ばしていくきっかけとしていってください。

株式会社プランディット 編集事業部 数学課 須藤
編集プロダクションの株式会社プランディットで、進研ゼミを中心に、算数・数学の教材編集を担当。

プロフィール



1988年創業のベネッセ・グループの編集プロダクションで,教材編集と著作権権利処理の代行を行う。特に教材編集では,幼児向け教材から大学入試教材までの幅広い年齢を対象とした教材・アセスメントの企画・編集を行う。

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