中学受験を心穏やかに迎えるには? 子どもへの効果的なメンタルサポート法 [やる気を引き出すコーチング]

いよいよ受験シーズンが近づいてきました。保護者の皆さんもお子さんも、不安や緊張でピリピリしてくる時期ではないでしょうか。
「親子共に心穏やかな中学受験ができました!」と笑顔で語ってくれたSさんのお話をぜひご紹介したいと思います。

この記事のポイント

クリアリングで「完了感」を作る

「コーチングでやったクリアリングという手法がとても良かったです。内側にある気持ちをどんどん出してもらって受けとるんですよね。子どもが最近、少し不安定だなと感じた時は、『今、どんな気持ち?』と子どもに質問するようにしていました。『ちょっと焦ってきた』という返事だったら、『そうか、ちょっと焦ってきたんだね。他にはどんな気持ちがある?』と受けとめて、また聴いていきます。『そうか、緊張してきたんだね。他には?』、『なるほど、自信がない気持ちもあるんだね。他には?』と。

質問責めにするのではなく、一つひとつゆっくり丁寧に子どもの言葉を受けとっていきます。不思議なもので、最初はネガティヴな言葉が多くても、続けていると、しだいにポジティヴな言葉に変わっていくんです。『やっぱりもう少しがんばりたい』などの言葉が出てきます。受験直前は、これを毎日のようにやってから勉強していました。勉強にも集中できるようでした」

頭の中にあるモヤモヤ、気がかりは、そのままにしておくと、エネルギーや集中力を奪います。モヤモヤは、なくそうとするのではなく、「あるんだね」と受容してあげることで、「完了感」に変わります。簡単に言うと「スッキリ感」です。この「スッキリ感」が得られると、物事に対して落ち着いて前向きに取り組めるようになっていくのです。

傾聴し気持ちに寄り添う

「クリアリングで気持ちを聴きながら、子どもの話には口を挟まず、とにかく寄り添うことを心がけました。否定したり、下手に励ましたりせず、ただただ子どもの話を聴くんです。そうすると、本音がどんどん出てきます。自分は別に受からなくてもいいけど、ママに悪いとか、そんなことまで心配していたのかと思う話まで出てきて、痛々しい気持ちにもなりました。
でも、そういうことも含めて素直に言ってくれたことがとても嬉しくて、『話してくれてありがとう』と言いながら、とにかく、子どもがたくさん話せるように聴き役に徹しました。私が代わりに受験してあげることはできませんが、気持ちを聴いて、子どもが心を落ち着かせるサポートならできるなと思いました」

フューチャーペーシングでワクワク感を引き出す

「上の子の受験の時は、本当に申しわけなかったと思います。励ますつもりで、『このままだと受からないよ!』と脅すような言葉をかけていました。下の子とは、合格した後の気持ちや入学してからの生活など、未来に向けた話をたくさんしていました。

『合格したらまず何をしたい?』、『入学したら何する?』、『入学式ってどんな気分かな?』と質問して、自由にイメージを話してもらいます。どんな言葉も否定しないで聴きました。
『合格したらディズニーランドに行きたい』、『中学校ではブラスバンドをやってみたい』、そんな話をしていると、子どももワクワクしてきて、『絶対に合格する!』と嬉々として勉強に向かっていました」

このように未来のイメージを具体的に語り、ワクワク感を引き出していくアプローチをフューチャーペーシングと言います。「失敗したくないからがんばる」という危機感よりも、「合格したらこんな良いことがある」というワクワク感のほうがストレスなく行動を起こせるものです。

まとめ & 実践 TIPS

子どものメンタル面のサポートをする上で大切なことは、まず、保護者のメンタルが安定していることです。最後は、「あなたなら大丈夫だよ!」と、こちらが大らかにかまえていることが、お子さんにとって一番のサポートと言えます。
「上の子の時は、模試の結果に私自身が一喜一憂し、子どもをよけいに不安にさせていたと思います。私の気持ちが落ち着いていると、子どもが不安定な時も穏やかに対応できますし、そうなると、子どもも安定してくるんです」とSさんも話されていました。
ここまでがんばってきたことを労い、気持ちを受けとめ合って、親子共に心穏やかに受験当日を迎えられることを願っています。

プロフィール

石川尚子

石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。近著『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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