子どもに「勉強って何に役立つの?」と質問されたら、答えられますか?【算数編】
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「勉強って何に役立つの?」——多くのかたがお子さまから聞かれた経験があるのではないでしょうか。
「将来役に立つよ。」「子どもは勉強をするものだよ。」のような漠然とした答えでは、お子さまもごまかされたような気持ちになってしまいそうです。子どもが納得し、やる気や夢がもてるようにするにはどのように答えるのがよいのでしょう。今回は、「算数」について考えていきたいと思います。
(赤ペン先生 吉田)
この記事のポイント
お子さまの生活に結びつける
朝起きてから夜寝るまでの間に、私たちは(無意識のうちに算数を使っています。お子さまの実際の生活で考えてみましょう。
例えば、朝起きる時刻を決めるときなどです。学校に決まった時刻に着くためには、出かける前にしなければならないこと(洗面、着替え、朝食をとる‥などや)登校にかかる時間を計算して、間に合うように起きる時刻を決めます。
ほかにも、「遠足のおやつを500円以内で買うとき」「友達3人に2こずつお菓子をあげるとき全部で何個必要か」など、全て算数です。
これら一つ一つのことを、お子さま自身が考えて判断していかなければならないことが徐々に増えていきます。それらのことが自然にできるようになるのは、「算数を勉強しているからなんだよ。」などと伝えると、お子さまは自分自身のこととして考えられるので、勉強の必要性を実感できるのではないでしょうか。
将来の夢に結びつける
「赤ペン先生の問題」でも時々、「なんで勉強しなければならないの?」と聞かれることがあります。短い文でわかりやすく答えるのはなかなか難しいことです。
「勉強というのは『知る』ということだよ。『知っている』ことが多いと、いろいろなことができたりわかったりするよ。」などと答えることもあります。そうなのです。知っていることが多いと、選択肢や可能性が広がるのです。
「赤ペン先生の問題」のおたよりに「将来の夢」というテーマがあります。看護師、医師、薬剤師、宇宙飛行士、最近では、ゲームクリエーターといった理系の職業が、年々目立つようになってきました。社会情勢を子どもながらに受け止め、「人のために役に立ちたい」「好きなことや興味のあることを生かしたい」という気持ちの表れでもあると思います。
「お医者さんになりたいと思ったら、資格をとったり、その仕事をするために、算数を勉強して得意になることも必要なんだよ。得意なことを生かすと、困った人を助けることもできるね。」などと話すと、勉強することが将来の選択肢や可能性を広げ、それが、世の中のためにもなることを伝えられるのではないでしょうか。
「考える」訓練ができることを伝える
算数は、答えを出すために、与えられた条件を使って、いろいろ考えながら答えを求めていきます。
途中で違うと思ったら、また、別の考え方をしなければなりません。算数の問題そのものが、直接将来の役に立つというわけではないかもしれませんが、「物事を順序立てて考える」「物事を違う角度から考える」ことは算数を勉強することでも鍛えられます。この「考える」訓練をすればするほど、物事に行き詰まったとき、いろいろなアイデアが浮かんできたり、柔軟に対応する力が養われていくのではないでしょうか。このことも、是非、お子さまに伝えたいことです。
「友達と喧嘩をしたとき、なぜ、友達は怒っているんだろう?原因は何かな?仲直りするためにはどうすればいいんだろう?どんな言葉をかければいいかな?などと考えるよね?こんなふうに、できごとを順番に整理しながら考えていくのも、算数の考え方が元になっていることもあるんだよ。いろいろな考え方ができると、いろいろな問題を解決していけるようになるよ。」などと伝えてみてはいかがでしょう。
まとめ & 実践 TIPS
「勉強は何の役に立つのか」という疑問が湧いてくるという心理の裏側には、「難しい勉強をするのが嫌だな。」という気持ちも潜んでいるかもしれません。同時に、お子さまが、自分で物事を考えられるようになったという成長の証でもあります。このような疑問をもち始めたことを、まずは受け止め、「えらい!」とほめてあげてください。認めたうえで、おうちのかたが、「こうだよ。」と決めつけて言うのではなく「一緒に考えてみよう。こんな場合はどうかな?」などとヒントを与えつつ、子どもの考えを引き出していくとよいのではないでしょうか。自ら考えることで、納得感も高まり、勉強することの目的をもつことができれば、目の前の学習意欲も増し、そしてまた、将来への展望も開けていくのではないでしょうか。
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