子どもが行動を起こす最も効果的なコーチング法とは?[やる気を引き出すコーチング]
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新年度を迎えました。早いもので、このコラムの連載も、7回目の春を迎えました。こんなに長く書かせていただいているのは、この『Benesse教育情報サイト』のコラムだけです。本当に「有り難い」ことと感じ入ります。読者の皆さま、編集部の皆さまには、あらためて、心から感謝申し上げます。
折々にお寄せいただく、「コーチングを実践することで子どもが変わった!」「何より自分が楽になった!」というお声を励みに、これからもコーチングのコツやエッセンスをお伝えしていきたいと思っています。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
子どもは「言うとおりにはならないが、するとおりにはなる」
今回は、まず、私がコーチング講座などでご一緒するお父さんお母さんから、よくお聴きするお話の代表的なものを2つご紹介したいと思います。
(1)小学2年生男子のお父さんのお話:
「会社から言われて、資格試験を受けることになったんです。会社ではなかなか勉強できないので、家に帰ってから、テキストを開いて読んでいると、子どもが興味を持って寄ってきて、始めはちょっとうっとうしいなと思ったんですけど、そのうち、自分も問題集か何か持ってきて、隣に座って勉強を始めたんです。『勉強しろ!』と言ってもやらないくせに、面白いなと思いました」
(2)小学4年生女子のお母さんのお話:
「この前、とってもムシャクシャすることがあって、どうしていいかわからなくて、猛烈に部屋の片付けを始めたんです。前から気になっていた要らないものをとにかく捨てようと思って。やり始めたら、意外とはまってしまって、けっこう捨てました。家の中がかなりスッキリしたんです。そうしたら、何も言っていないのに、娘も自分の部屋を片付け始めて、とてもきれいにしていました。びっくりしました!」
この類のお話は、本当によくお聴きします。「子どもに行動を起こしてほしかったら、言葉で言うより、まず、自分がやってみせたほうが早いんじゃないですか?」と思ってしまうぐらいです。大人が何かに真剣に打ち込む姿には、子どもの行動を促す力があるのだと感じます。
輝いている大人のオーラを感じさせる
先日、女性で初めて、民間人から公立中学校の校長先生になられた平川理恵さんのお話を伺う機会がありました。
「さまざまな分野で活躍されている社会人のかたを中学校に招いて、講演会を行っています。サッカー選手が来ても、生徒全員が興味を持って、話を聴くわけではありません。でも、各分野で輝いて生きている大人の本物のオーラを感じてもらうことが大事だと思っています」というお話がとても印象に残りました。こういう体験も、やる気スイッチの一つだと思います。
以前、保護者向けの講演会のあと、一人のお母さんが質問に来られました。
「『夢は叶う』ということを私も子どもに伝えたいのですが、私自身が夢を叶えてきていないので、『夢は叶う』と私が言っても説得力がないと思うんです。どうしたらいいでしょうか?」
私は、逆に質問しました。
「叶うとしたら、夢を叶えてみたいと思いますか?」
「はい、もちろん」
「今、何か夢をお持ちですか? 大きなことでなくていいです。『こうなったらいいな』と思うことはありますか?」
「それは……あります!」
「そこに向かってチャレンジされたらいいと思いますよ。夢は叶うと信じて。そこに向かうお母さんの姿はきっと輝いて見えるはずです。それこそが、言葉よりも、お子さまのチャレンジ精神を刺激するのではないでしょうか」
とお答えしました。身近な大人が輝いて生きていることが、子どもの内側からのやる気を引き出すことにつながると確信します。
さあ!新年度です。大人の私たちも、何か新たなチャレンジを始めませんか? ささやかな一歩でかまいません。お子さまもきっと春からスイッチが入るはずです。子どもが行動を起こす最も効果的なコーチング法とは、大人がまずやってみせるということなのです。
![]() | 『言葉ひとつで子どもが変わる やる気を引き出す言葉 引き出さない言葉』 <つげ書房新社/石川尚子(著)/1,620円=税込み> |
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