大人が関わるよりも効果的?子ども同士のコーチング効果[やる気を引き出すコーチング]

コーチングを熱心に学ばれている教育現場の先生の中には、非常にチャレンジャーな先生がいらっしゃいます。最近、立て続けに、「子ども同士でコーチングをし合ってもらいました」というお話をうかがいました。

コーチングというと、どうしても、先生が生徒に対して、大人が子どもに対して行うものというイメージを持たれがちですが、決して、上下関係の間でのみ行われるものではありません。コーチのほうが偉いわけではなく、むしろ、コーチとコーチングを受ける側は「対等である」というのがコーチングの前提です。ですから、子ども同士のコーチングというのも十分考えられるわけですが、今回うかがった事例はかなり衝撃的でした。

小学生がクラス中でコーチングを実践すると・・・

小学校2年生の担任K先生に見せてもらった動画には、子ども同士がペアを組み、机を90度の角度に並べて、クラス中でコーチングをし合っている様子が映っていました。コーチ役が、相手の話を「うん、うん」とあいづちを打ちながら聴いています。時々、質問もしています。なかなか堂に入ったコーチぶりです。

このすばらしい光景に、「コーチングのやり方はどうやって指導されたのですか?」と聞かずにはおれませんでした。K先生はこう説明してくださいました。

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最初に、『相談にのってほしいことがあるんだけど、先生の話をまず聴いてくれる?』と子どもたちに問いかけました。子どもたちが『いいよ』と言ってくれたので、『やろうと思っているけれどなかなかできないこと』について自分の話をしました。これに対して、『先生が自分でどうすればいいのかを考えられるような質問をしてほしい』と伝えました。子どもたちから投げかけられる質問に答えながら、『これがコーチングだよ。さあ、みんなもやってみよう!』と。

うまくできているかどうかわからないところはあるのですが、コーチングをし合うようになってから、クラスの距離が近づいたように思うんです。各々が友達の話をよく聴こうとするようになり、お互いを気にかけるようになりました。学活の時間にやっているのですが、しばらくやっていないと、『先生、コーチングはやらないの?』と子どもたちから言ってくるようになりました。
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小学校2年生でもコーチングができると証明してくれた事例でした。別に完璧である必要はありません。自分の話を親身になって聴いてもらえた体験がある子どもは友達の話も親身になって聴いてあげられるのです。こんな体験からも、子ども同士の関係性が良くなっていくこともあるのです。

勉強の前後にコーチングをすると・・・

「最近、学習の始めと終わりに、子ども同士でコーチングをしてもらっているんです」とおっしゃるのは、小学生を教えている学習塾のT先生。

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話し手と聴き手に分かれて、2分ずつ交代して話します。勉強を始める前には『今日の目標』について、終わりには『目標はどこまで達成できたのか』について、同じペアで話してもらいます。コーチングの仕方は、特に教えたわけではないのですが、聴き手は自然と質問をしたり、感想を伝えたりしています。

このペアコーチングを毎回やるようになってから、私たちがコーチングするよりも勉強の到達目標が早くクリアできるようになったんです。子どもたち同士のほうがずっと効果的ですね。あと、驚いたのが、今まであまり口も聞かなかった学年が違う子ども同士が、勉強を教え合ったり、相談にのったりしてるんですよね。子どもに任せたほうがよほどいいなと思いました。
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こちらも非常に興味深いお話でした。わずかな時間でも、目標と振り返りを子どもたち同士でやることによって、様々な効果が生まれるのです。子どもには無理と決めつけないで、機会を作ってみる価値がありそうです。

プロフィール


石川尚子

国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ。ビジネスコーチとして活躍するほか、高校生や大学生の就職カウンセリング・セミナーや小・中学生への講演なども。著書『子どもを伸ばす共育コーチング』では、高校での就職支援活動にかかわった中でのコーチングを紹介。

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