時事問題対策のポイント 写真や絵を材料に理科・社会科の発想を広げる 『ジュニアエラ』総監修者がアドバイス!【中学受験】

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中学入試の時事問題の対策として、今回は身の回りにある写真や絵に着目し、発想を広げていく方法について、「私立中高一貫校進学フェア オンライン」で配信されている文教大学の早川明夫先生の時事問題特別セミナーの内容からご紹介します。

写真をもとに「特徴は?」「なぜ?」「どういうこと?」と問いかける

私たちが日常生活で目にするさまざまな身の回りのものが、時事問題対策のために考えを深める材料となります。写真や絵もそうした材料の一つです。たとえば、次の写真を見てください。

写真:「天地の農(あめつちのみのり)カレンダー」より
2020年2月のワサビ田のページ/国際カレンダー(株)

これは、たまたま私の家にあったカレンダーの写真です。これは何かというと、ワサビ田といってワサビを栽培しているところです。ではワサビ田の「地図記号」は何だと思いますか。調べてみると、地図記号は「田(※)」です。ワサビ田ではお米と同じように水をたくさん使っているので「田(※)」になるわけです。ほかにも、埼玉県で多く作られているクワイという野菜や、茨城県で作られているレンコンも、同様にたくさんの水を使って栽培されるので、作られている場所の地図記号は「田(※)」となります。
※縦線2本の田を表す記号

ワサビからさらに発想を広げてみましょう。ワサビの栽培は水温がとても重要で、10度〜15度くらいの水温がちょうどよくて、16度以上では育ちが悪くなるそうです。これはなぜだと思いますか。一見難しい問いですが、小学校の理科の知識で説明できます。理由は水に含まれる酸素の量です。石鹸などの固体は水温が高いとよく溶けますが、酸素などの気体は、水温が高いと水から出てしまい酸素の量が少なくなるからなのです。

この水温と酸素の関係からもう一歩発想を広げてみます。海の暖流と寒流では、どちらが魚が多いと思いますか。これは寒流のほうが多いのです。直接の理由は魚のエサであるプランクトンが寒流のほうが多いからですが、プランクトンが多い理由は、やはり北の冷たい海水に含まれる酸素の量が赤道の真下の温かい海水よりも多いからです。
このように、ワサビ田の写真から、地図記号といった社会の知識、さらに水温と酸素の関係といった理科の知識と合わせることで、さらに理解が深まり知ることが面白くなっていくのです。

絵の小さな情報にも着目して「なぜ?」を考える

もう一つ例を挙げて考えてみましょう。次の絵を見てください。

図版:葛飾北斎「凱風快晴」メトロポリタン美術館HPより

これは江戸時代の浮世絵師、風景画で有名な葛飾北斎の凱風快晴、俗に赤富士と言われるものです。この絵を今買おうとすると、何百万、何千万といった高い値段がつくかもしれません。しかし、江戸時代にはこの赤富士の絵はどれくらいの値段で買えたと思いますか。実は、かけそば一杯分、今の週刊誌1冊分くらいの値段で買えたのです。

では、なぜそんなに安く買えたのでしょう。この図版ではよく見えないかもしれませんが、富士山の赤い部分には木目が見えます。つまり、これは木版画なので何枚も刷ることができたのです。大量に制作できるためそれだけ値段は安くなるというわけです。このように1枚の絵からも、社会科の学習内容に発想を広げていくことが可能なのです。身の回りにあるさまざまな材料に目を向けて、「気になるものは?」「どんな特徴があるだろう?」「ほかに同じような特徴を持つものは?」「なぜか?」「どういうことか?」と考える習慣をつけていくことが社会科の勉強になり、時事問題の対策につながります。

まとめ & 実践 TIPS

私たちが日常生活で目にするさまざまなものが、時事問題対策のために考えを深める材料となります。たとえば、写真や絵などにも目を向けて、「気になるものは?」「どんな特徴があるだろう?」「ほかに同じような特徴を持つものは?」「なぜか?」「どういうことか?」を考えていくことで、発想を広げ知識を蓄えていくことができます。

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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