実践的な初年次教育によって将来のキャリアデザインを描いていく【変わる大学】

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2019年度の大学・短期大学進学率が58.1%(※)に達し、過去最高を更新しました。大学全入時代といわれる昨今、文部科学省が提唱する高等学校と大学との接続や連携により一人ひとりの能力を伸ばす「高大接続」「高大連携」は、ますます重要となっています。そのような状況下、入学後の初年次に自分で選択して自主的に学ぶ大学の学び方に戸惑う学生もいます。高校までの受け身の学習スタイルとのギャップを埋め、学生主体の学びへの転換を図る必要性が高まっており、多くの高等教育機関でさまざまな初年次教育を行っています。今回は、“考える力”や“社会的視点”を育むことをテーマに、実践的な初年次教育に取り組む宝塚大学東京メディア芸術学部の事例をご紹介します。

この記事のポイント

4つの科目でクリエイターに求められる素養を身に付ける

宝塚大学東京メディア芸術学部の初年次教育では、必修科目として「表現実践Ⅰ・Ⅱ」「表現思考Ⅰ・Ⅱ」「表現とICT」「コンピュータデザイン基礎Ⅰ・Ⅱ」の4科目を用意。美大としての役割を担う学部として、企画からアウトプットまで関われる人材を育成することをめざしています。そのため、社会との関わりや自分の力を認識することを重視した教育を実施し、「大学生」としてだけではなく、初年次から将来のキャリアプランとも関わる“コミュニケーション能力”など「社会人」としての基礎力も身に付ける教育に取り組んでいます。

表現の実践と思考を並行して学び、ものづくりの基礎を学ぶ

「表現実践Ⅰ・Ⅱ」「表現思考Ⅰ・Ⅱ」を学びながら、初年次は“ものづくりの基礎力”を身に付けていきます。「表現実践」では、クリエイティブ産業で活躍する人材になることを目標とし、制作・表現能力を磨きます。映画、舞台、アニメ、広告デザインなど社会でのクリエイティブワークがチームで行われていることを前提とし、アクティブラーニングやグループワークを通じて、インタビュー動画の制作や学園祭でのファッションショーを実施。また課題解決や意思決定の能力を磨くPBL(プロジェクトベースドラーニング)として、新宿区からオリエンテーションを受け、プレゼンから実行までを担うプロジェクトなども実施しています。さらに並行して学ぶ「表現思考」では“思考⇒伝達⇒リサーチ⇒リフレクション(改善を図る振り返り)”の流れを重視し、リサーチ力、傾聴力、鑑賞力、観察力などについても五感を使いながら身に付けます。これらによって、論理的思考や伝達力など「社会人」に求められるコミュニケーション能力を養成し、自分が社会の人材であると実感できることも目的としています。

ビジネスソフトやデザインソフトのスキルをしっかり身に付ける

現代の社会では企画書や報告書の作成に、ワープロソフト、計算ソフト、プレゼンテーションソフトは必須のスキルとなっています。そのため「表現とICT」では、「社会人」に求められるWord、Excel、PowerPointなどを使いこなし、さらに「表現思考」と連携しながら、しっかりと考えて文書を作成できる能力を身に付けます。同時に、電子メールをはじめ、SNSの活用法やセキュリティーなどのインターネットリテラシーも養います。「コンピュータデザイン基礎Ⅰ・Ⅱ」では、課題制作を通じてデザイン現場で必須となるソフトウェアAdobe Photoshop、Adobe Illustratorの基本的な使用方法を学習。各ソフトを使いこなしたデザイン制作だけでなく、「ACA(アドビ認定アソシエイト)」の資格取得をめざします。合格者には資格取得支援金を支給することで、モチベーションの維持にも工夫をしています。

将来を見据えた初年次教育が、学生の変化や成長につながる

宝塚大学では、全学生が社会と関われるような初年次教育を導入したことで、学生に大きな変化が生まれています。学生たちに計画性が身に付き、メモを取ることが習慣になってきます。さらに、基本的なことだけでなく、学びや将来へのモチベーションの高まり、職業意識の向上、学生の授業への出席率向上、退学率低下にもその効果が顕著に表れています。4年間学ぶ準備だけではなく、将来クリエイティブ産業でビジネスに関わっていくための素養と実践力を磨き、社会に出るための準備も意識した初年次教育。このような宝塚大学のカリキュラムや活動は、これからの大学教育の一つのモデルケースとなっていくことでしょう。

宝塚大学 東京メディア芸術学部
https://www.takara-univ.ac.jp/tokyo/

※出典元:令和元年度学校基本調査(確定値)の公表について (文部科学省/令和元年12月25日)
https://www.mext.go.jp/content/20191220-mxt_chousa01-000003400_1.pdf

本掲載情報は2020年8月時点のものです。

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