2学期スタート! 目標を具体的にする志望校見学を[中学受験 5年生]

保護者の役割は、お子さまの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。 5年生を対象に、2学期の初めに取り組んでほしい課題について取り上げます。




■難易度は気にせず、子どもと幅広く学校見学を

何度かお伝えしているとおり、5年生の2学期からは学習内容が非常に難しくなります。ここで大切なのが目標です。目標がなければ、難しい問題に粘り強く取り組む意欲はわいてきません。
受験勉強の難所に向けて目標をより具体的にするため、2学期にはぜひお子さまと学校見学に行ってください。5年生での学校見学は、目標設定に役立てるのに最もよいタイミングといえます。

この時期は、第1志望校以外の学校も幅広く見て回ることをおすすめします。第1志望校が共学校であれば、男子校や女子校も。家からの距離も、通学時間60分程度をめどに、やや広い範囲を視野に入れてください。難易度は、まださほど気にする必要はありません。



■見学前に、教育費はきっちりとチェックを

なお、学校見学の前に、ネックとなる学費の面をきちんとチェックしておくことが必要です。「高等学校等就学支援金」等の制度が導入されてから、高校からの学費はかなり低減されていますし、奨学生制度などを利用する方法もあります。ただし、交通費や教材費などが意外にかかる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。



■見極めたいのは「子どもが思春期を過ごすのにふさわしい場所か」

学校見学の際、最も見極めてほしいのは、入学時の学力や進学率よりむしろ、その学校の哲学や校風です。お子さまがその学校で過ごす6年間は大切な人格形成期ですから、人格の鏡になるような指導者に恵まれて、のびのびと自分らしさを発揮できる環境であることが望ましいのです。

特に私立校は、理事長や校長先生などしだいでかなり環境が変わってきますので、校長先生の言葉にはよく耳を傾けてみてください。入学すれば毎日のように聞くことになる校長先生の話は、思春期の子どもに少なからず影響を与えます。校長が心にしみるようなよい話をされるところ、学校がアピールしている教育方針に保護者のかたご自身が共感できるところは注目すべきです。いくら進学率や施設が立派でも、校長や先生がたの言葉にどこか違和感を覚えるなら、あまりおすすめはできません。また、校長のワンマン経営か、先生一人ひとりがチームワークを発揮しているかといったことも、先生同士のやり取りをよく観察すると見えてきます。



■「教師文化」と「生徒文化」を感じる

学校見学に行ったら、ぜひ先生がたの言葉遣いや生徒との距離感に注意してみてください。適度な距離感を保っている学校も、距離が近くてフレンドリーな学校もあります。それは善し悪しではなく、その学校が培(つちか)ってきた校風の現れです。そこに通っているお子さまの姿を思い浮かべてみてください。
また、学園祭などを見学すると、教室劇や研究発表の展示などが多い学校、模擬店やアトラクションが中心の学校など、それぞれ雰囲気が違います。通常の見学でも、壁の掲示物などから、部活や生徒会活動の盛んさがわかります。

各学校には、代々の先生がたが培ってきた「教師文化」と、生徒が自主的につくってきた「生徒文化」があり、両者の相乗効果でその学校独自の文化が生まれています。学校現場に足を運ぶことで、その文化をある程度まで肌で感じることができるのです。



■子どもの「行きたい」という気持ちを大切に!

学校見学を通じて、お子さまが「この学校に行きたい!」と言い始めたら、しめたものです。たとえかなり難しい学校だとしても、保護者のかたはその選択を否定しないこと。子どもたちは理性より情動で動きます。気持ちが動けば、それが学習の原動力になるのです。

5年生の2学期以降は、成績が伸び悩みがちになり、点数や合格可能性の数値で自分を否定されたように感じてしまいやすく、ストレスがたまりやすい時期です。保護者のかたにお願いしたいのは、お子さまを成績しだいで責めたり、持ち上げたりしないことです。今は志望校の合格可能性が低くても、「うちの子なら何とかなるだろう」とあえて楽観的に構えること。子どもは期待をかけられてこそ伸びていきます。保護者のかたが「この子はこの程度」だと見放せば、子どもは本当にそこまでしか伸びなくなります。
子どもたちの意欲と伸びる力を信じてあげてください。それが今、一番大切なことです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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