勉強しているのに成績が上がらない本当の理由とは?【中学受験】

中学受験コンサルタントの齋藤達也さんのもとには、「塾から出された宿題をやっているのに成績が伸びない」「長い時間勉強しているけれど成績が上がらない」「どんな勉強をすれば子どもの成績が伸びるのかが分からない」など、保護者の方からのお悩みが次々に寄せられます。
中学受験に挑むご家庭ではどんな悩みが多いのか、そしてその解決方法について、伺いました。

宿題を終わらせようとするから成績が上がらない

中学受験に関する相談を受ける中で一番多いのが、「勉強しているけどテストの点数や成績が上がらない」というお悩みです。

・机に向っている時間が長いわりに成績が上がらないのでどうしたらいいのか?
・勉強法を変える必要があるのではないかと思うけれど、どう変えればいいのかわからない
こういった保護者のかたはとても多くいらっしゃいます。
週に3回(もしくはそれ以上)塾に通い、出された宿題をきちんとこなされているお子さまがほとんどです。
時間的にも量的にも勉強しているはずなのに、なぜ成績が上がらないのでしょうか?

それは家庭での勉強が宿題を終わらせることに終始してしまっているからです。実は宿題をやるだけでは成績は上がりません。
というのも、授業中に理解できた問題は宿題でも解くことができます。一方で、授業中に理解できなかった問題は、もちろん宿題では解けません。つまり、宿題をやっただけでは「授業で理解できた問題」と「理解できなかった問題」とをグループ分けをしただけということに過ぎないのです。

たいていのお子さまは、宿題をやって間違えた問題をなんとなく、解答を写して理解した気になって終わり…ということになりがちです。そんな状態でテストを受けても、理解していない問題は当然解けません。そればかりか、授業で理解したはずの問題まで解き方を忘れてしまい、間違えてしまうなんていうことも少なくありません。これでは点数は取れません。
勉強の目的は「わからないことをわかるようにすること」であって、決して宿題を終わらせることではないからです。

塾に言われるがまま、ただ宿題を終わらせようとしていたら、本来お子さまがやらなくてはいけない勉強をすることができません。その結果、長い時間勉強しているわりに成績が上がらないということになってしまいます。
ですから、家での勉強は宿題を終わらせることを優先させるのではなく、「理解しきれていない問題を1つでもいいので分かるようにすること」に力を注いでください。

そこでぜひおすすめしたいのが、「お子さまが『分かった!』と言い切った問題を、もう一度解かせる勉強法」です。
やり方は文字通りです。授業を受けたり宿題を解いたりした後で「この問題は分かった!」と言った問題を、翌日にもう一度解き直すようにさせてください。
これを行うことで「分かったつもり」になっている問題をあぶり出すと同時に、「分かったつもり」の知識を、しっかりとした知識として定着させることが可能になります。
やりっぱなしでは決して成績は上がりません。
常にもう一回やり直すことを意識してご家庭でのスケジュールを組むことが成績アップへとつながっていきます。

国語力を上げることが、4教科の成績アップに繋がる⁉

私は、注国語力をつけることがお子さまの成績を上げるために最も重要なことだと考えています。というのも、勉強をしてもなかなか成績が上がらないお子さまの共通点として「文章を読むことが苦手」ということがあげられるからです。
中学受験をされるご家庭の多くが小学校4年生から塾に通わせ始めますが、4年生の段階ではまだ、知識が単独で問われるような勉強が多く、例えば算数では計算力さえあればある程度の成績を取ることができます。しかし、学年が上がるにつれて、知識だけを覚えていれば解ける問題というのは減っていきます。
入試問題でも、算数は問題文の長い文章題が出ますし、理科・社会では長い文章を読んだ上で問に答えるというスタイルがほとんどです。問題文をしっかりと読み、何が問われているのかを理解してはじめて設問に答えることができるのです。

あなたのお子さまの成績がなかなか伸びない理由は文章が読めないからかもしれません。実は多くのお子さまが問題文をしっかりとは読めておらず、ただ眺めているのと同じだったりします。

お子さまが「この問題わからない」といった場合に、隣で問題文を音読してあげたら「分かった!」といって解き始めるケースがあります。文章を読むのが苦手な子さんというのは問題文を読んでいるつもりでもまったく読めていないのです。
これではどんなに解法を理解したり、知識を覚えたりしても設問に答えることができません。もし、あなたのお子さまが文章を読むことが苦手だというのであれば日ごろから文章を読む訓練を行う必要があります。

文書を読む力をつけることが国語力をつけることへとつながっていきます。そして、国語力がつけばつくほど授業中に理解できることが増えていくため、より効率的な家庭学習が行えるようになっていくのです。

※注 ここでは「国語力」を相手の言っていることを理解して、自分の思っていることを伝えることであると定義します。

『小6からでも偏差値が15上がる 怒らずに子どものやる気を引き出す中学受験合格法』
齋藤達也/あさ出版/1512円(税込)
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プロフィール


齋藤達也

中学受験コンサルタント。1976年、横浜生まれ。聖光学院中学校・高等学校で中高6年間を過ごし、東京都立大学(現・首都大学東京)法学部法律学科に入学。大学卒業後は一般企業に勤めていたが、趣味でつくった中学受験体験談のHPの反響があまりに大きかったため、中学受験コンサルティングを始め、ついには本業に。これまで合格に導いた教え子は700人以上。著書に『1日1分の「音読」で国語の成績は必ず上がる!』『怒らずにわが子のやる気を引き出す中学受験合格方』(ともにあさ出版)などがある。
・私立中学へ行こう!(https://press2u.com)
・国語の達人(https://kokugo.j-tatujin.com)

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