私立高校、公立高校の推薦入試、どんな準備が必要?中3受験生

推薦入試といえば、「内申点が重要で、学力検査がない入試」というイメージをもたれているかたも多いかと思いますが、私立と公立、各都道府県、各校によって内容は異なるので、事前に十分情報を集めておく必要があります。 今回は、推薦入試の概要と準備についてお話しします。

私立高校の推薦入試

●まずは推薦基準を確認。加点制度は各校で異なる

推薦入試の出願の目安となるのが、各高校で定める推薦基準です。推薦基準は、たとえば5教科で20以上、9教科で36以上と、内申点によって定められています。ただし、部活動や生徒会活動の実績、出席状況、英検や漢検などの検定・資格などにより加点となる学校も多数あります。
ほとんどの私立高校が、「推薦入試を受けられるか」「成績が推薦基準ぎりぎりの場合、他にどのような入試方法があるか」などについて、個別に相談できる入試個別相談会を行っています。関心のある高校があれば、訪れて積極的に相談されることをおすすめします。

●入試の内容や合格可能性について、事前に情報収集を

基本的に学力検査はなく、調査書(内申書)と面接、作文などで選抜されることがほとんどですが、なかには適性検査を課す学校もあります。また、推薦入試を受けられれば、一般的に合格の可能性は高いと考えられていますが、難関校や大学付属校などでは、適性検査等で厳しい選抜が行われる場合があります。
また、推薦入試は単願(合格したらその学校に入学すると確約して受験)のみの都道府県も多いですが、埼玉県や千葉県の私立高校のように、併願推薦を認めているところもあります。
志望校の推薦入試の制度や試験の内容については、入試個別相談会で質問するなどして早めに情報を集めておきましょう。

公立高校の推薦入試

●小論文、集団面接など独自の対策が必要なケースも

「推薦入試」という名で選抜を行う公立高校は近年減ってきていますが、学力検査を行わないタイプの選抜は都道府県によって多様な方法で行われています。選抜方法は調査書(内申書)のほか、面接、集団討論、作文、小論文、適性検査など様々です。公立高校の推薦入試は、学力検査がなく、早い段階で合否が決まることもあって、非常に高倍率となるケースが多くなっています。

このように、ひと口に推薦入試といっても求められることは様々ですが、次からは、推薦入試で課されることの多い作文・面接対策について述べていきます。

作文対策——体験を踏まえて書く

一般的によく出されるテーマは「志望動機」「中学生活で印象に残ったこと」「高校生活への抱負」「将来の夢」などです。過去に出題されたテーマや字数をあらかじめ調べ、指定字数内かつ字数の8割以上で書けるように練習しておきましょう。抽象的な事柄だけでなく、具体的な実体験を入れて書くと、自分らしさの伝わる良い作文になります。たとえば「高校生活への抱負」で、英語を頑張りたいというテーマで書くのであれば、英語を好きになったきっかけや、その学校の英語教育のどんな部分に魅力を感じたのか等について、具体的に書けるとよいですね。
保護者のかたは、字数や誤字・脱字をチェックするとともに、内容にもひと言コメントしてあげてはいかがでしょうか。

面接対策——志望動機を自分の言葉で伝える

面接試験の大きな目的は、「受験生の意欲を見る」ことです。緊張して上手に話せなくてもさほど気にする必要はありませんが、「この学校で学びたい」という意欲ははっきり伝える必要があります。上に挙げた作文のテーマは面接でもよく質問されますが、特に「志望動機」は意欲を伝える上で重要だと思います。学校見学で先輩が優しく接してくれた、文化祭に憧れた、将来の夢につながるコースがあった…など、その学校に行きたいと思った理由を具体的に話すようにしましょう。
また、質問者の意図をくみ取って端的に答えることも大切です。たとえば「今日はどうやって来ましたか」という質問には、通学ルートを知りたいという意図も含まれているわけですから「電車で」とひと言で済ませるのではなく、「〇駅までバス、そこから〇〇線に乗って来ました。〇〇分くらいかかります」などと具体的に答えるほうがよいでしょう。

推薦入試の前に、保護者のかたができること

推薦入試は、選抜方法が学校によって多様なため、事前の情報収集が大切になります。
また、面接や作文等で、初対面の大人に向かって自分の考えを伝えることは多くのお子さまにとって初めての経験だと思います。推薦入試の前には、お子さまの身だしなみに気を配るとともに、ひとりの大人として、より相手に気持ちが伝わりやすい言葉遣いについてアドバイスしてはいかがでしょうか。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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