予防接種で受験期の健康対策を万全に!
受験本番や学習の追い込み期である冬場には、受験生は体調を崩したくないものです。
巣鴨こし石クリニックの輿石義彦医師に、予防接種も含めて受験生が注意したい体調管理についてお話を聞きました。
受験期には受けておきたいインフルエンザの予防接種
これまでの学びの成果を存分に発揮するためにも、受験生にとって体調管理は欠かせないでしょう。
特に注意したいのが、インフルエンザです。
学校保健法には、インフルエンザにかかってから、診断後最低5日間は出校停止になることが定められています。加えて、熱が下がってから3日間は休まなければいけないという規定もあります。
つまり、診断後4日目に熱が下がった場合には、そこから3日間は休まねばならず、計7日間出校停止となるのです。
受験での追い込み期に学校や塾をそれだけ長期間休まなければいけなくなるのは、かなり辛いですよね。
また、インフルエンザにかかると、高熱が出たり、激しい頭痛に見舞われたりします。生活リズムが崩れたり、集中力が低下してしまったりすると、勉強どころではなくなってしまうでしょう。
インフルエンザの予防接種の意味
そこで受験生は、備えとしてインフルエンザの予防接種を受けておくとよいのではないかと私は思っています。
残念ながら、インフルエンザの場合、予防接種を受けたからといって100%発症を防げるというわけではありません。
調査データによると、0~9歳ではインフルエンザの予防接種により発症率が明らかに下がるのですが、中高生以上の年代では発症を抑えることについてはあまり効果が出ない場合が多いのです。
インフルエンザウイルスは毎年形を変えるため、開発者はその変化を予測してワクチンを作ります。ウイルス開発の予測が外れれば、インフルエンザの感染を防ぐことができないのです。
しかし、インフルエンザの予防接種の意味がないかというと、そういうわけではありません。
たとえインフルエンザを発症したとしても、予防接種をしていれば熱が早めに下がるなど軽症で済むのです。
インフルエンザの予防接種の適切なタイミングとは
予防接種により、インフルエンザに感染したとしても早めに学習に復帰できるので受験生は予防接種をした方がよいと私は考えています。
インフルエンザワクチンは、1シーズンで2回受けることができます。
免疫力の高い中高生があえて2回受けることは少ないのですが、受験生の場合は別です。
私は念には念を入れた、予防をおすすめしています。
毎年、インフルエンザの患者が出始めるのは11月からで、流行が始まるのは12月からです。ですから、1回目の予防接種は11月に受けましょう。
そして、実はインフルエンザワクチンの持続率は、3ヵ月ほどだといわれています。つまり、インフルエンザ流行のピークである1月・2月頃に効果が薄れてしまう可能性があるのです。
そこで、予防率をさらに高めるために、1月にも再度接種することを推奨しているのです。
1月に予防接種をすることができれば、3月にある国公立大学後期入試まで抗体を持続させることができます。
なかには、副作用について心配なさる保護者のかたもいるかもしれませんね。
しかし、日本のインフルエンザ予防接種において重い副作用が出ることはまずありません。腫れるといった反応が出るのが3%~5%程度。重症化した人は、2000年以降報告がないのです。
なぜ、予防接種に副作用があるというイメージがつきまとうかというと、2つの理由があると思います。
1つめは、ワクチンは卵を利用して培養するのですが、昔は卵成分をきちんと除去しきれていなかったので、注射することにより卵アレルギーの子どもが反応を起こしてしまっていたということです。
もう1つは、海外での副作用の事例を見ているから。日本と海外ではワクチンの作り方が異なるため、海外の事象を鵜呑みにする必要はないのです。
そのため、インフルエンザの予防接種を2回受けたとしても、副作用はほとんどないと言えるのです。
受験勉強に後悔を残さないように、十分な健康管理を心がけていきたいですね。その一つの方法が、インフルエンザの予防接種。医師と相談のうえ、接種を検討してみてはいかがでしょうか。