小中学生の保護者の方必見!大学入試新テストにむけて今からできることは?
現在小学生~中学1年生のお子さまは、大学入試の際に、センター試験に替わる新テスト(「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」)を受けます。2015年の年末に問題例が公表され、新テストのイメージがより具体的になってきました。今回は、ベネッセ教育総合研究所・鎌田恵太郎アセスメント研究開発室長が、新テスト試行期間にあたる小4生~中1生、本格導入される小3生以下、それぞれの今後の見通しと今からできることを解説します。
センター試験に替わる新テスト 記述式の問題イメージが公表
新テストは5教科で検討されていますが、記述式問題は国語と数学で導入が検討され、国語が優先とされています。記述量は、最大で300字程度です。
国語については、文部科学省から3問の問題例が示されました。これまでのセンター試験のような評論や小説といった文学作品ではなく、統計・新聞・討論などの題材が扱われています。与えられる情報も文章のほか、図・表なども含まれます。記述式問題では、設問の状況に応じて意見を完成させる力、意見の根拠を論理的に示す力が求められています。
【現在小学4年生~中学1年生のお子さまをおもちの方へ】 記述式問題の導入の可能性があります
センター試験に替わる新テストは、現在の中学1年生が高校3年生になる2020年度から始まります。導入から数年間は「試行的な期間」とされていましたが、公表された問題例であれば、現在の中学1年生から、新テストで記述式問題が出題される可能性があると考えられます。
新テストの国語の問題例では、状況に応じて他者の意見を完成させたり、自分の意見を構成や展開を工夫して記述・論述する力が求められています。小学校高学年ぐらいからは、考える力が大きく伸び始める時期なので、ぜひお子さまも自分の考えを述べる問題に積極的にチャレンジしてみるとよいでしょう。
ただし、新テストのモデル問題は今後さらに具体的に検討が進みます。議論の方向性によっては、現行案から変更があるかもしれません。そのため、保護者の方は今後の大学入試改革のニュースに注目し、お子さまの学年ではどのような試験が実施されそうか、チェックしておくことが大切です。
【現在小学3年生以下のお子さまをおもちの方へ】 長い目で思考力や表現力を養う必要があります
現在小学3年生以下のお子さまは、高校生になると新しい教育課程で学習する世代になります。具体的には、地理・歴史、公民、理科などで、より思考力・判断力・表現力の育成をめざす科目が新設されます。新テストもそうした新科目を考慮して検討されます。現在問題例が公表されている国語・数学以外の科目でも、記述式問題が出るかもしれません。また、紙と鉛筆ではなくコンピューターを利用したテストにするのか等の技術的な課題も、検討が進むことになります。
このように、お子さまが大学受験する頃には、新テストは複数の科目で多様な読解力、思考力・表現力が問われ、今のセンター試験よりもかなり求められる能力の幅が広がることが予想されます。大学受験までにはまだ年月もありますが、一般的に思考力や表現力を伸ばすには時間が必要ですから、早い時期から対応することが望ましいでしょう。例えば低学年のうちであれば、お子さまが興味をもったニュースについて家族で話し合ったり、夏休みの自由研究を自分の考えを表現する場として活用したりすることが有効です。
新テストはより社会で必要な力を問う問題が中心に
具体的な問題イメージが公表されたことで、記述式問題の導入がこれまで以上に現実味を帯びてきました。まだ変更の可能性はあるものの、今後の大学入試の方向性として、これまでの能力に加えて、思考力や表現力などを重視する点は確かでしょう。つまり、論理的な思考をもとに、問題解決の方法を探り、自分の言葉で表現する力が求められるのです。
こうした力は、これからの社会で活躍するために不可欠な能力です。これまでも個別大学の試験で、「小論文」を中心に、省庁の統計資料・新聞などを扱って意見を書かせる問題は見られました。しかし、小論文では限られた受験生しか対象になりません。より多くの受験生が受ける新テストの「国語」で出題が検討されるということは、今の小中学生には、これまで以上にそうした力が求められているからだと言えるでしょう。
日々の学習は、大学入試のためではなく、お子さまの将来のためにあるものです。保護者の方は情報をキャッチアップしつつ、長い目で必要な取り組みをしていくことが大切です。
- ※大学入試改革については、2015年12月時点で文部科学省から発表されている情報をもとに記事を作成しております。現在も具体的に検討が進められており、今後の検討によって、お伝えしている内容から方針や具体案、実施の時期が変わる可能性がありますので、ご了承ください。