【4年生】年の初め、我が家流の生活ルールを [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第60回]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生の1月潤E3月に行われる入試に対応するために、毎年の受験生活は○月にはこれを、と目標とするべきスケジュールがあり、それは歳時記のようにも感じられます。
このコラムでは、4年生から6年生のお子さまと保護者のかたに、毎月特に取り組んでほしい重点事項を紹介していきます。
前回までに続き、今回は、4年生を対象に、冬休みから取り組んでいただきたい課題についてお話しします。



お正月は「学び」の宝庫

年末年始は、近年中学入試にもよく出題される伝統文化を、肌で学ぶ絶好の機会です。お節料理や正月飾り、正月独特の遊びなど、学びの入り口となることは数限りなくあります。たとえばお雑煮に入れるのが丸もちか角もちか、どんなだしを使い、具は何を入れるのか、といったことには地方色が色濃く表れます。保護者のかたの出身地が違うようなら、それぞれの地域のお雑煮をお子さまと一緒に作って食べ比べるのもよいですね。郷里に帰省するかたは、ぜひその地域の伝統行事にふれさせてあげてください。年の初め特有の改まった空気は、忘れがたい印象を残すことと思います。

また、ご家族や親せきが集まってトランプやマージャン、花札など、さまざまなゲームに興じる機会もあるかもしれません。頭を使って楽しめるゲームは何でもよいのですが、特に百人一首はおすすめですね。得意な取り札ができると、意味はわからなくても言葉のリズムが体に入りますし、天智天皇、後鳥羽上皇、紫式部など歴史上の人物が詠んだ歌もありますから、日本史への興味につなげる子もいるでしょう。最近は朗読テープ付きのかるたもありますので、ぜひご家族で楽しんでいただきたいと思います。



生活ルールは、修正を重ねながら決めていく

一方、5年生に向けて、そろそろ問題になってくるのが生活習慣です。ゲームやテレビ視聴、メールのやりとりの時間など、ご家族で話し合ってルールを決めておきましょう。「1日に○分」「週に○時間」といった決め方、「『決められた時間を勉強できたら、ごほうびとして』ゲームで遊ぶことをOKとする」「自由にテレビを見てよい曜日を決める」など、本人が守りやすい方法を一緒に考えてあげましょう。重要なのは、本人が集中して学べるリズムをつくることです。

なお、大人でも、自分で決めたルールを守れないというのはよくあることです。子どもはそんな保護者のかたの姿をよく見ていますので(笑)、「ここまでなら叱られないかな」「ここまでならたぶん許されるな」などと、大人の許容範囲をかなり正確に見極めてきます。そこは、保護者のかたの「さじ加減」です。杓子(しゃくし)定規に「一度決めたことは絶対守りなさい」と言ってもうまくいきませんし、だからといって現実に流されるのもよくありません。「どんなルールなら守れるか」を真剣に子どもと話し合い、実践しながら、我が家流のルールづくりをしていってください。

また、冬休みは生活のリズムが乱れやすい時期です。一定した学習時間をキープすると同時に、睡眠時間は必ず8時間とれるよう、食事や入浴の時間はなるべく一定となるように気を配りましょう。



どんな環境なら我が子は伸びるか、「遠く」を眺める機会に

学力は、先生の指導さえよければ伸びるというものでもありません。学ぶ環境や友達からの刺激も大きいものです。一緒に勉強して楽しい友達やあこがれの先輩が、塾や習い事の教室など、身近にいるのが理想的です。たとえば、今通っている塾の雰囲気がよくなく、友達からよい刺激を受けられないようなら、どんなに指導法やテキストが優れていても、転塾を考えたほうがよいでしょう。

現在、中学入試は多様化の途上にあり、適性試験と面接のみでの審査や英語のみの試験など、さまざまな方法で受けられる学校も増えています。つまり、学力を判断するものさしは「偏差値」のみではなくなってきているのです。
どんな環境や学習法のもとでなら、お子さまがいちばん自分らしい力を発揮できるのか、年の改まるこの機会に、ぜひ広い視野で考え、ご家族で話し合っていただきたいと思います。

次回は5年生を対象に、1月に取り組んでほしい重点課題について取り上げます。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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