新学年のスタートにあたって…… 第2回 言葉のかけ方が案外影響する[高校合格言コラム]
言葉のかけ方が案外影響する
前回は詩人・吉野弘さんの作品を例に、子育ての在り方についてお話ししました。今回は、お子さまへの言葉のかけ方についてお伝えしたいと思います。
私は仕事柄、学校改革の相談を受けることがよくあります。とくに最近は、「生徒の学力をどう伸ばすか」が、公立、私立を問わず、どこでも学校の大きな課題になっています。
先日、ある私立女子校の学力向上プロジェクトチームの先生がいらっしゃいました。相談の内容をかいつまんで言うと、「その学校では、高校2年までは予備校等の外部模試の成績がけっこういい。それなのに、いざ高校3年になると、AO入試や推薦入試で進学したがり、一般入試で最後まで難関校にチャレンジし続けようという生徒が少ない。学校としては難関大学合格者数が伸びないので、それが学校として喫緊の課題になっている」ということです。
いろいろ話し込んでいくと、その学校の先生方はみなまじめで、「○○の部分がまだ不足しているのではないか」「ここを克服しないと××大学にはとても届かないぞ」「△△の国家資格をとるのはそんな簡単なことではないぞ」……と、気が付いたことをストレートに指摘していることがわかりました。それが生徒を不安にさせ、実力はあるのに、早く安心したいとAO入試や推薦入試で決めたがることにつながっているように感じました。
一方、よく知っている学校の中に、高校2年の外部模試では他校に劣っているのに、生徒が一般入試で難関大学に積極的にチャレンジする学校があります。その学校を観察していると、先生たちは、「その専攻、あなたに向いているんじゃないかな」「あとひと伸びすれば受かるかもよ」「潜在的な力はあると思うから挑戦してみたら」……といったように極力生徒の気持ちが前向きになるような言い方をしています。
保護者のかたに接することも多いのですが、やはり大半の保護者は前者の学校の先生のように、我が子の気になる点を次々に指摘しています。私も、我が子のことになると、できないこと、他のお子さまより劣っている点、短所……そうしたことばかりが気になって、ついそのことを指摘ばかりしていました。が、それはあまり効果を生まなかったような気がします。
むしろ後者の学校の先生のように、明るく前向きな、大ざっぱな保護者のほうが受験はうまくいっているように感じます。
こうした言葉がけは、学校にも、ご家庭にも共通することのような気がします。
次回は、いかにお子さまを「大人」に育てるかについて、お話しします。