国語の説明文の問題で、内容が食いつけない話題だと、解答がずれてしまいます[中学受験合格言コラム]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


【質問】

国語の説明文の問題で、内容が食いつけない話題だとわかったとたんに、解答がずれまくってしまいます。

相談者:小5男子(大ざっぱ・弱気なタイプ)のお母さま



【小泉先生のアドバイス】


文や段落の「関係」を考えながら読み進める


●食いつけない話題とは?
食いつけない話題とは、「興味がない話題」とか「知識がない話題」のことでしょう。本来は、「知らないことを知るために読む」のが文章を読む目的のひとつです。しかし、人には既に知っている事柄について書かれた文章を好んで読む傾向があります。たとえば、昨夜テレビで観戦した野球やサッカーの記事を、翌日の新聞で読む場合などがそれに当たります。既に結果はわかっていても、記事をつい読んでしまいます。ひいきのチームが勝った時などは、関連の記事を隅から隅まで読みたくなるものです。この時、読むという行為は情報を得るためよりも、楽しむこと・確認することが主な目的になっているのでしょう。逆に、新しい情報を得るために文章を読むという行為は、その内容が身近でなければないほど読みづらいものになります。ましてや、読み手が幼い小学生ともなれば、未知の内容が書かれている文章を読むことはなかなか難しい作業なのです。

●なぜずれまくるのか?
読んでいて「ずれる」というのは、内容を誤って理解してしまうという意味でしょう。書いてあることが身近でない、経験したことがない、興味がないなどの理由で、勝手な理解をしてしまう。結果、その文章の結論やまとめを読んでも、何が何やらわからないということになります。しかし、こうしたずれは論説文ではありますが、物語文ではあまりないでしょう。もちろん、物語文でも筆者のイイタイコトがはっきりとはわからない場合はあります。でも、物語文の内容、すなわち「あらすじ」がわからないという読み手はまずいないと思います。

一方、説明的文章においては内容がわからないことはあります。読み終えても、その文章の内容をひと言でまとめられません。説明的文章では、最後のほうに結論がある場合が多いのですが、それだけ読んでもしっくりこないという状況、すなわち、「ずれる」のです。物語文と説明的文章のこのような違いは、どこからくるのでしょうか。

●説明的文章のつながり方
物語文が読みやすいのは、話が「時系列」でつながっているからでしょう。もちろん、回想ということで時間が戻ったり、あるいは、二人の行動を交互に進めたりするような書き方をする場合はあります。しかし、基本的には時間とともに起きる事柄を読者は読み進めていきます。ですから、文章を読み慣れていない低学年の子どもでも、話がつながり、読んで理解することができるのです。

しかし、説明的文章では文と文あるいは段落と段落は時系列でつながっているわけではありません。それらは、いくつかの「関係」によってつながっています。しかも、こうした関係は、日常的にはあまり意識することはありません。だから子どもたちにはわかりづらいし、読み難いのです。逆にいえば、この関係を教えてあげればぐっと読みやすくなると思います。

●「関係」を考える
それでは、文と文や段落と段落にはどのような関係があるのでしょうか。そして、それはなぜでしょうか? 関係としては、ある話題(たとえば、「日本の住まい」)に対して、「因果関係」「イコールの関係」「対比関係」「転換の関係」などがあります。「因果関係」とは、話題に対する理由や結果です(例:日本の伝統的な木造住宅は風通しのよさが特徴だが、それは夏の蒸し暑さを避けることを優先させたためである)。

「イコールの関係」とは、日本の伝統的な住まいがどのように造られているかの具体例や筆者が体験した事柄などです。「対比関係」とは比べること、たとえば「日本の住まい」と「欧米の住まい」を比べてその違いを論じ、日本の住まいの特徴を浮かび上がらせようとします。「転換の関係」とは、今まで話題になっていた「日本の住まい」から話題を移して他の話題に移るような展開です。もちろん、他の話題といっても「日本の住まい」とまったく無関係ということはありません。直接の関係はないが、今までの話題と何らかの接点はあるでしょう。そして、こうした関係の事柄を次々に述べるのは、「日本の住まい」について読者に伝えたいからです。最後に「まとめ」あるいは「結論」らしきものがない場合もありますが、いずれにしても、文章を読み終えた読者は日本の住まいについて理解し、より深い知識を得たとしたら、その文章を読めたということになります。

●文章の展開をたどる
このように、説明的文章では話題について、さまざまな観点から読者に伝えようとします。読者は、次々に展開される文や段落を話題との関係を意識しながら読み進めることで、迷子にならずに読み終えることができるのです。たとえば、「話題」→「理由」→「具体例」→「対比」→「まとめ」などと文章の展開を追えれば、時系列で物語文のあらすじをたどるのと同じように、文章を理解したという感触を得られると思います。

こうした関係を意識しながら読むためには、最初から長い文章を読むのは難しいでしょう。最初はそれこそ2、3の段落で短いまとまりのある文章から読み始めるとよいと思います。慣れてくれば入試問題に出てくるような長い説明的文章もずれることなく読めるようになるでしょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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