興味のある分野の本しか読みません[中学受験合格言コラム]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。

※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


【質問】

国語の読解問題ができません。興味のある分野の本だけは読んでいたのですが、最近は問題を読むこと自体が面倒くさいと言い、物語どころか本自体を読まなくなりました。どうすれば国語の成績を上げることができるでしょうか。


相談者:小6男子(大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま



【小泉先生のアドバイス】


本人の興味から入って分野を広げる


●ヒトはどんな本を読むのか?
最近はネットで本を購入したり、電子書籍で読んだりする人が増えたようです。リアルの書店での本の購入と大きく違う点は、内容をあまり知らずに買うことがリアルの書店の場合のほうが圧倒的に多いということでしょう。表紙や帯を見て手に取り、2潤E3ページ読んでみて気に入って購入する。本の手ざわりや厚さなども選択の基準に入っているのかもしれません。そして、なんとなく手に取った本が自分の人生に大きな影響を与えた、という話はよく聞きます。内容を知らずにフィーリングで購入する人は、読書がもちろん好きなのでしょうが、それとともに過去にすばらしい本に出合った経験があり、そのような本にまた出合えることを期待しているのでしょう。

さて、本にはこのような買い方もありますが、内容を知っていて購入する場合は、興味がある、あるいは何らかの必要があるから購入すると考えられます。恐らく、大人の場合は、仕事上の必要性から本を読むことも多いでしょう。しかし、小学生の場合は、それこそ夏休みの課題図書にでもならない限り、読む本は「興味のある分野」だけに絞られます。すてきな出合いを経験したこともないし、文字を読むのも好きでなければ、「興味のあること」が書いてある本しか読まないのはしごく当然だと思います。

●入試に頻出の話題は?
どのような分野に興味を持つかは人それぞれでしょうが、ある程度知識がある分野には興味を持つことが多いと思います。ということは、知識を持たせれば、興味がわく可能性もあるということです。食べず嫌いということもあります。いろいろな分野の知識を増やして興味の幅を広げることが大切です。たとえば、サッカーが好きなお子さまなら、サッカーの試合の話や名選手の逸話などの本には興味があるでしょう。

とはいっても、それらが入試に関係のない分野であれば受験には役立ちません。入試のためを考えるのであれば、入試に頻出の話題(テーマ)に興味を持たせたり、知識を持たせたりすることが必要です。ちなみに、最近の説明的文章での頻出テーマは、自然環境・動植物・言語コミュニケーション・文化習慣・文芸論といったところです。これらのテーマは実によく入試に出題されますが、自然環境や動植物ならともかく、他の分野は小学生の日常ではまず目にふれないものばかりです。ですから、知識もなければ興味もわかないのだと思います。

●興味を広げるには?
それでは、どうしたら興味を広げられるのでしょうか? 一つの方法としては、今お子さまが興味のある分野から入り、文化習慣(風土、歴史)を経由して他の頻出テーマに慣れ親しむようにするのです。文化・習慣はあらゆるテーマに密接に関連していますから、他のテーマに興味を広げるには格好の橋渡しなのです。

たとえば、サッカーが好きなお子さまであれば、前述のように、サッカーに関する記事なら興味を持って読むでしょう。それではサッカーの歴史についてはどうでしょうか? あるいは国ごとのサッカー選手の気質やサッカーのやり方などについてはどうでしょうか? こうした文章を読んでいくと、歴史はもちろんのこと、その国の文化・習慣にも当然触れていきます。あるいは昆虫に興味があるお子さまであれば、昆虫の話題から始まり、実は日本人は秋の虫の声を愛(め)でるが、欧米人にとっては音しか聞こえないという話に興味をひかれるかもしれません。こうしたことから、文化・習慣の違いに興味を持ち、それがきっかけになってさらに他の分野にも興味を広げる可能性が出てくるのです。

そして、いろいろな分野の文章を読んでいくと、知らないことを知る楽しさがわかってきます。楽しさを知ると、さらに文章を読みたくなるものです。お子さまのように6年生になってしまうと、他の受験教科の勉強が忙しくてなかなか読書する時間がとれないとは思います。しかし、勉強の合間の気分転換にはよいでしょう。このように最初から受験を目的に文章を読ませるよりも、本人の興味から文章を読む習慣を身に付けるほうが、成果が出るのが早いかもしれません。きっかけになる文章に出合うのに少し苦労するかもしれませんが、無理に文章を読ませても逆効果になるお子さまには、興味から入る方法が特に効果的だと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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