国語の点数が伸びない6年生 受験までにどう対策する?【中学受験】
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いよいよ受験学年となった6年生。しかしこの時点でどうしても模試で点数が伸びず苦労している教科がある場合、どのように力を付けていけばいいのか。
今回は国語が苦手なお子さんのための対策法を森上教育研究所がお伝えします。
ポイントを絞って学習を行うことで確実に点数を伸ばす
漢字は動詞と同音異義語に重点を置いて練習する
入試問題の3割を占める漢字などの知識問題は、夏休みも含めて入試直前まで繰り返し練習を行い、知識を蓄えることが必要です。
ただし、全範囲に取り組むのではなく範囲を絞るのが確実に点を伸ばすコツです。
まず、名詞の漢字は国語が苦手なお子さんでもそこそこ書けます。
書けないお子さんが多くなってくるのが「勤める」などの動詞の漢字。そして苦手なお子さんが最も苦労するのが「利口」「貴重」「軽率」「厳重」などの形容動詞的に使われる名詞の漢字です。
この形容動詞的に使われる漢字は「間違えてもよい」と割りきって対策は行わず、伸びしろのある名詞と動詞の漢字に絞って対策を行いましょう。
動詞は特に「勤める」と「努める」のような同音異義語が入試で頻出ですから、きちんと意味を理解して書き分けができるように繰り返し学習をしておくと、模試の点数も伸びていきます。
入試問題の5,000字くらいの文章を時間を意識して読む練習を
読解問題対策については、本をたくさん読ませればよいと考える保護者のかたもいらっしゃるかと思います。
しかし国語が苦手なお子さんの多くは読書の習慣がありませんから、ただ本を渡されても読めるようにはなりません。
そこで即戦力になるのが入試問題の5,000字程度の文章を読む練習です。
入試での出題割合は、物語文と論説文が2対1程度ですから、同じ割合で物語文を2つ読ませたら論説文を1つのペースで読ませるとよいでしょう。
この時、文章の意味を十分に理解したうえで1分間に400字以上の速さで読むことを目標にしましょう。ただし7,000字前後の文章を出題する学校を志望する場合は、受験までに1分間に600〜800字程度の速さで読めるようになると有利です。
参考までに、以下は400文字の例文です。この文章を1分間で読み終えるのが1分間で400字という速さですので目安にしてみてください。
中学受験は、子どもにとって大きな挑戦です。保護者のかたも、子どもたちの気持ちを理解し、励ましてあげることが大切です。
まずは、子どもたちのがんばりを褒めてあげましょう。どんな小さな進歩でも、子どもたちががんばっていることを認めてあげることで、自信を持って取り組むことができます。
失敗や挫折があったときには、保護者のかたも一緒になってそれを受け止め、前向きに取り組むことが大切です。
子どもたちが受験に向けて努力する過程では、疲れやストレスを感じることもあるでしょう。そんなときは、家族や友だちと一緒にリラックスする時間をつくってあげられるとよいでしょう。
保護者のかたは、子どもたちが自分自身を信じ、自分の夢に向かって努力することを応援していきましょう。受験は一つの目標ですが、それが叶わなくても、子どもたちは自分の人生を歩んでいくことができます。保護者として、子どもたちの側にいて、一緒に歩んでいきましょう。(400字)
入試問題の文章を読んでおくと、練習になるだけではなく似たような文章が入試本番で出た時に「この話は知っているぞ」と非常に強みになります。
特に中位校以下の学校では同じような文章が取り上げられることが多いので、ぜひ過去問を入手して読んでおきましょう。
傍線部について問う設問は前後3行に注意
また、問題集などで読解問題に取り組む際はできるだけ「手法」を意識することが大事です。
たとえば、傍線部の意味を問う設問では、傍線からだいたい3行以内にヒントや答えが書いてあることが多いです。したがって、傍線部について問う設問ではまず3行以内の文章からうまくヒントや答えを抜き出せるように練習しましょう。
月例テストや模擬試験の見直しをする際も、傍線部から3行以内の文章をチェックして正解と照らし合わせてどこがヒントだったのか、どこが答えとなっているかを確認するようにすれば、コツが徐々に身に付きます。
以上の対策を行えば必ず点数は伸びます。
苦手なお子さんは、国語はなかなか点数が伸びないと思い込んでいる場合が多いので、点数が伸びるととても励みになりさらにがんばるモチベーションが上がります。
ぜひ、夏休みはさらに入試本番直前まで対策を続けていただければと思います。
志望校選びや練習用の過去問を探す際は入試データに着目
他教科でどうカバーできるかという観点で入試データを見る
今後点数の伸びは期待できるとしても、やはり他教科ほどは国語の点数は期待できないという場合は、志望校の入試結果のデータを分析し、国語が弱い分を、算数、理科、社会で何点積み上げれば合格者平均点に達することができるかを見定め、他教科の対策に力を入れましょう。
志望校がまだ定まっていない場合は逆に、国語が弱い分を他教科でカバーして合格者平均点に届く学校はどこかという観点で学校選びをしてもよいでしょう。
こうした入試データの分析はお子さん自身が行うのは難しいので、保護者のかたがデータを調べたり学校を選んだりすることも必要になります。
ただし、国語は苦手でもお子さんがとても好きな分野や好きな文章がある場合は、そうした文章を入試で出題している学校を選ぶと点数を伸ばせます。
お子さんが好きなジャンルの物語文や、たとえば昆虫がとても好きな場合は昆虫や自然に関する論説文を出題する学校があれば、その学校を候補に加えるというのも有効です。
過去問選びの際も偏差値だけではなく受験者平均も基準に
また、上に述べた入試問題を読む練習をするための過去問選びは、志望校と同じ偏差値帯の学校から選ぶというのが一つの方法です。
しかし、特に共学校に多いのですが、偏差値が低くても非常に難しい問題を出す学校がありますので、入試結果の受験者平均点が50%〜60%の比較的くみしやすい問題を出題している学校の過去問から選ぶのがおすすめです。
まとめ & 実践 TIPS
国語が苦手なお子さんは、漢字については形容動詞的に使われる漢字は割り切って対策は行わず、名詞と動詞の漢字に絞って対策を行いましょう。読解問題対策については、入試問題の5,000字程度の文章を1分間に400字以上の速さで読むことを目標に練習するのがおすすめです。
問題集などで読解問題に取り組む際は、傍線部の3行以内の文章からヒントや答えを抜き出すといった「手法」を意識することが大事です。志望校選びでは、入試結果のデータから国語が弱い分、算数、理科、社会で何点積み上げれば合格者平均点に達することができるかという観点で検討するとよいでしょう。
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