2学期スタート! 併願校決定と反抗期トラブルの解消を [中学受験 6年生]

保護者の役割は、お子さまの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生を対象に、2学期スタート時に取り組むべき課題について取り上げます。




■どう探す? 併願校

2学期に入って、併願校決定に頭を悩ませている保護者のかたも多いのではないかと思います。最近は学校の再編が進んでおり、歴史の古い男子校・女子校が名前を変えてできた共学校、新しい教育方針が功を奏して高い進学実績を上げている新設校など、選択肢が増えています。第1志望校と同じような難易度の学校は思い付くけれど、それ以外の学校はよく知らない、というかたは多いので、ぜひ塾の先生や家庭教師などの専門家に相談してみてください。「難易度は高くないけれど、理数系の授業が充実していて、進学実績がよいところ」「部活が盛んで、自由な校風の伝統校」など、希望する併願校のイメージを伝えれば、さまざまな学校をすすめてくれると思います。



■適性試験型入試や、他地域の学校にも注目を

併願校は、難易度や地域にかかわらず、広い視野を持って探すのがおすすめです。たとえば、適性試験型入試を行う学校は年々増えていますが、たとえば、適性試験型入試を行う学校は年々増えていますが、適性試験のほうが一般入試より入りやすい傾向があると考える人も多いようです。また、適性試験を特待生制度を組み合わせている学校も多いので、適性試験の傾向がお子さまに合っていれば、「お得」な入試となる可能性があります。さらに、無理のない範囲で他県や全寮制の学校も検討してみてください。

併願校は、お子さまが実際に通う可能性の高い学校となります。難関校ではなくても、卒業時までにお子さまを「後伸び」させてくれそうなところ、何よりお子さまが「ここが好き!」と感じているところ、といった視点で候補を絞っていきましょう。



■この時期、最も大切なのは「親子関係を良好に保つ」こと

6年生の2学期、特に気を付けてほしいのは親子関係の悪化です。志望校の最終決定や勉強法を巡って、特に女の子とお母さまがぶつかり合う、というケースが多いようです。受験後、「あのころはものすごいストレスだった」と振り返るかたもたくさんいらっしゃいます。
この時期に親子の間に溝ができると、のちのちまで尾を引きますし、受験にもよい影響を与えません。保護者のかたが自分を信じ、応援してくれていると感じられてこそ、子どもたちは努力を続けられます。「お母さん大嫌い」「勉強はイヤ」「あんな学校、行きたくない」となってしまったらよい結果が出るはずはありません。

この時期はほとんどの子が思春期に入っており、親とは別の自我を形成しつつあります。親子関係を良好に保つためには、子どもをできる限り大人扱いすることです。たとえば「ここが苦手だから、もっと勉強しなさい」といった「上から目線」の言い方をやめ、「ここが苦手みたいだけど、どうやって勉強の時間をつくる?」というふうにご本人の考えを引き出し、尊重するようにしてください。



■子どもとの言葉のやりとりに注意

ストレスがたまってくると、言葉はきつくなりがちです。子どもにきつい言葉をかければ、きつい返事がこだまのように返ってきて、ますます関係が悪化してしまいます。声をかける前にひと呼吸おいて、自分の気持ちを意識してみるのもよい方法です。今の気持ちは暗いのか、明るいのか。気持ちが暗いなと思ったら、子どもにかける言葉を明るい方向に変えてみてください。マイナスの感情をそのまま子どもにぶつけることだけは避けなくてはなりません。

保護者のかたご自身がストレスをためこまないための工夫も必要です。塾の先生に心配事を相談するだけで気持ちの整理がつく場合もありますし、既に中学受験を体験している先輩保護者や「ママ友」に話を聞いてもらうのもよい方法かもしれません。



■第三者からほめてもらう「間接ほめ」も有効

「口だけは達者なのに、やるべきことをやらない」「いくら言っても返事をしないので何を考えているかわからない」といった声もよく聞きます。そんな時は、子どもが尊敬している大人、たとえば習い事や塾の先生、ご親戚などにお願いして、子どもをほめてもらう「間接ほめ」も効果的です。たとえばピアノの先生に「最近、大人っぽい弾き方をするようになったね。勉強もがんばっているとお母さんがほめてたよ」などと言ってもらうなど……。子どもたちは「おだてて勉強させようとしているな」といった大人の思惑は敏感に感じ取りますが、第三者から保護者の信頼の気持ちを伝えられれば、自分から「がんばろう」と思い直すことも多いのです。

9月は、夏休みの勉強疲れも出始めるころです。保護者のかたもここであまり無理をせず、「本番に向けて、ゆっくり力を付けていこうね」というふうに声をかけてあげてください。



プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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