併願校(安全校)決定の決め手は? [中学受験]

併願校、特に安全校について、保護者から次のような質問がありました。

(質問)
小6の息子、今受験に向けてがんばっている(かな?)ところです。受験校の最終決定は12月頃と塾の先生から聞いていますが、うちの場合、現在まったく手が届かない第1志望校は決定しています。それで、併願校を検討中なのですが、実力相応校はあと数か月間の成績で決めるとして、安全校は、偏差値をどのくらい下あたりで決めたらよいのでしょうか? 常に合格確率80%と出ているようであれば、その学校は、安全校と考えてよいのでしょうか? たとえばギリギリ80%ラインだったとしたら、さらに偏差値に余裕がある学校を安全校としたほうがよいのでしょうか? 試験は水ものですから、いくら80%の合格率と評価が出ていても、決して確実ではないとわかっています。

(回答)
学校案内などで、合格倍率(受験者数÷合格者数)を見てみると、入試難易度ランクの低い学校では2倍以下の学校が多く、ランクの高い学校は2倍以上の学校が多いようです。もちろん合格倍率だけでは判断できません。たとえば、中堅校の第2志望校となっている人気のある中下位校は、合格倍率が2倍以上になる傾向があります。また、中下位校の例ではあり得ることですが、合格倍率が1.5倍であったとしても、複数合格した合格者はより偏差値が高い学校に抜けていくため、実際には、募集定員以下になることもあります。そのような場合は、多少偏差値を落とせば合格する可能性は高いので、安全校としても大丈夫です。
実力相応校については、一般的には、子どもの偏差値が合格可能性80%偏差値と同じ学校であれば、合格する可能性はかなり高く、実力相応校と言えます。しかし実際には、合格可能性50%偏差値の学校を受験し、合格している例が多く、こちらのほうが実際の実力相応校と言えるかもしれません。

安全校となるのは、お子さんの偏差値よりも合格可能性80%偏差値が5~10程度低い学校ですが、これは、入試難易度のランクによっても変わると思います。難関校や上位校は、多少子どもの偏差値よりも低い学校でも入学が難しい学校ですから、問題が合わなかったりケアレスミスが多くなったりすれば、不合格になることもあります。多少、偏差値を落としておかなければ、確実に安全校になるとは言えません。逆に、中下位校など入試難易度ランクが低い場合は、最近の傾向として学校の募集数よりも受験者数が少ない場合もあるので、そういう場合などは、偏差値5程度だけ落とせば、十分安全校と言えるのではないでしょうか。
これまでお話しした内容は一般論で、確実なことは言えません。当日の子どものコンディションや運・不運もあります。やはり、確実性を重視するのであれば、受験料はかさみますが、安全校とする学校を複数受験することしかありません。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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