2学期スタート! 基本的な勉強の仕方を身に付ける [中学受験 4年生]

保護者の役割は、お子さまの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
4年生を対象に、2学期の最初に取り組んでほしい課題について取り上げます。



■4年生の2学期は、本格的な受験準備のスタート地点

4年生の2学期が、受験準備の本格的なスタートといえます。学習内容も、ここから徐々に難しくなっていきます。
ですから、ここが学力の土台づくりと考え、学習習慣をしっかり付けるようにしてください。たとえば塾が火曜・木曜だとしたら、水曜・金曜は予・復習の日というふうに、お子さまと一緒に週単位で時間割を立て、ルール化してください。学習量は、「3時から4時は算数」などと時間で決めても、「1教科1回3ページ」などと分量で決めてもOKです。
また、この機会に「何のために中学受験に取り組むのか」について、あらためて保護者のかたで話し合っておくことをおすすめします。



■まずは勉強の外側に楽しみをつくる

勉強が最初から楽しいという子どもはほとんどいません。それでも、「勉強しているといいことがある」「勉強すると楽しい」と感じるポイントをつくってあげてください。まずはごほうびなど、勉強の外側に楽しみをつくるのがいいでしょう。一日の目標を達成したらシールを貼る、勉強のあとは必ずおやつ、平日は勉強をがんばったから、週末には子どもの好きなメニューが必ず食卓に出る、といった工夫もよいですね。無理のない学習ペースを維持することで、「勉強させられている」のではなく、「勉強することが自然」と感じられる状態をめざしましょう。



■「わからないことはすぐ調べる」のが学習の基本

また、「疑問をそのままにしない」「わからないことは自分で調べる」ことが、学習における大切な基本です。わからない言葉は国語辞典を引いて調べる、理科や社会で、知らない生き物や星の名前、地名や国名が出てきたら図鑑や地図帳で調べる習慣を、ぜひこの時期に身に付けさせてください。最初は「○○って何だろう?」「お母さんもわからないから、調べてみようか」というふうに声をかけながら一緒に勉強するとよいでしょう。漢和辞典などは引き方から教えてあげる必要があるかもしれません。もちろん、手の届くところに、面白い辞典や図鑑、地図や地球儀などをそろえてあげることも大切です。

学習に慣れてきたら、時々「それってどういうこと?」と保護者のかたがツッコミを入れてお子さまに説明してもらいましょう。説明があいまいであれば、理解が不十分なところがあるということ。この訓練を繰り返していると、疑問点をおろそかにしない癖がついてきます。



■この時期は、大人も受験勉強を楽しむ工夫を

2学期スタートに当たって、各教科の勉強をいかに楽しませるか、さまざまな方法を試してみてください。9月はいわば「学習サービス月間」のつもりで、保護者のかたも受験勉強を楽しんでみてはいかがでしょうか。

たとえば社会科で北海道の地理を学んだら、一緒にデパートの北海道物産展に行く、北海道名物でその週の献立を考える。宇宙の勉強をしたら星空観察会やプラネタリウムに出かける、小惑星探査機「はやぶさ」に関する映画を見るなど。机の上での勉強を生活や実体験に結び付けることが大切です。勉強は、ちょっとは楽しいものだなと思わせることができたら、しめたものです。



■志望校見学は、夢をふくらませる方向で

また、2学期のうちにぜひ志望校見学に行くことをおすすめします。志望校は、今の学力などは考慮せず、お子さまの夢やあこがれをふくらませる方向で選んでかまいません。お子さまにとっての「理想」とは何か、子どもの目線に立って考えてみてください。
なお、志望校見学は4年生、5年生、6年生と計3回行くといいのです。何度か訪れると経年変化も見え、その学校の長所も欠点もよく見えてきます。4年生で夢をふくらませ、5年生で目標を具体的にし、6年生でさらに現実的に検討するのがよい方法です。

また、4年生は大人の社会に関心を持ち始め、情動面も発達してくるころです。保護者のかたが、どのように進路を選んで今の立場にあるかという「キャリア」のお話を、少しずつお子さまにしてあげてください。そのキャリア形成の道筋が正しいのだと押し付けるのではなく、ご自身の「一人称」で正直な気持ちを話してあげることが大切です。お子さまにとってはそれが一つの軸となり、自分の進路を真剣に考えるきっかけとなります。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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