夏休みに向けて課題を整理する [中学受験 6年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生の夏休みに向けて準備しておきたいことについて取り上げます。



■夏期講習で、入試問題形式に触れて焦る前に

6年生の夏休みの課題は、苦手克服です。また、夏期講習の後半には入試問題形式の演習を行う塾も多いですね。実際に演習を受けてみて、多くの人が気付くことは、「国語の問題文を読むスピードが遅い」、「記述問題ができない」、それと「計算が苦手」ということです。つまり、読み、書き、計算という基礎が足りない人が多い、ということなんですね。
読み・書き・計算の力は、練習しだいで誰でも身に付けることができますが、時間がかかります。夏休み後半になってから焦る前に、1学期のこの時期から意識して訓練しておくことをおすすめします。



■縦書きの筆算で「正確に計算する」習慣を今から付ける

難しい応用問題にばかり取り組んでいて、計算練習が足りないため、よく計算ミスをする子どもはかなり多いようです。簡単な計算でも、縦書きの筆算の形に書き直して、丁寧に計算する習慣を付けるとよいですね。簡単な計算ドリルを使って、ゲームのように、時間や正答数を競うのもよいでしょう。



■「読む・書く」に「聞く・話す」をプラス

文章を読むスピードを上げ、なおかつ読み飛ばさず、内容を正確につかみながら読むには、時間を計りながら黙読してもらい、「どんなお話だった?」「誰と誰が出てきて、どんな関係なの?」などと質問して、ご本人に説明してもらう方法がよいでしょう。問題を解くより口で説明するほうがハードルも低く、お子さまも保護者のかたとのやりとりを楽しみながら読む力を付けることができます。読むスピード以前に、お子さまの読解力が足りないと感じたら、ご本人にゆっくり音読してもらい、「それってどんなこと?」などと質問しながら、内容を確認していきましょう。

また、文章を見せずに読み聞かせてあげて、その後、同様に内容について質問するのもよい方法です。「聞く」ことで、言葉に対する集中力が増し、読み飛ばす癖も解消できますし、第39回で紹介した「講義を聞いて答える」ような入試問題の対策にもなります。

記述問題が苦手な場合、まずは「30字でまとめる」練習から始めてください。これも同様に、いきなり「書く」のが難しければ、自分の考えを「話す」ことから始めてもよいのです。記述は、(1)「自分なりの答えを出す」→ (2)「それを言葉にしてみる」→ (3)「人にわかるように、指定字数内でまとめる」という作業であり、大人でも骨が折れますが、「話す」から始めることで、自分の考えを気軽に言葉にする習慣が付きます。
「読む・書く」力を身に付けるために、「聞く・話す」訓練はとても役立ちます。



■保護者のかたの息抜きも大切に

6年生は、お盆の数日を除いて毎日勉強、というハードな夏になることでしょう。短い休日には、できれば自然の中へ出かけ、身も心もリラックスできる時間をつくってあげられるとよいですね。費用はかかりますが、海外もよい選択です。日本語が通じない環境では、言葉に対する感覚が鋭くなり、よい刺激が受けられます。
また、保護者のかたご自身の息抜きもとても大切です。短いお休みでも、ご家族でのんびりと楽しめるようなプランを、ぜひ立てておいてください。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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