夏休みの最重要課題 精神的なタフさを養うこと[中学受験 5年生]

勉強が忙しくなるうえに、思春期特有の人間関係も意識し始めるのが5年生。5年生の夏休みは、実は疲れが出やすい時期です。しかも、2学期にはさらに勉強の難易度が上がります。
ですから、この夏の最重要課題は、お子さまに自信を付つけさせ、「精神的なタフさを養うこと」につきます。そのための方法をいくつかご紹介します。

「できるようになった!」経験がたくましさをつくる

塾でできない問題が増えたり、成績が伸び悩んでいたりして、自信をなくしているお子さまも多い時期なので、この夏の間に、ぜひ自信を取り戻してほしいものです。そのためには、ぜひ生活面・学習面で、できなかったことが「できるようになった!」という経験をさせてあげてください。できることが増えると、お子さまは見違えるようにたくましくなります。

生活面でいえば、「海で泳げるようになった」「プールで潜水ができた」「家族と山登りをして頂上に立てた」、あるいは一緒に料理に取り組んで、結果「カレーが作れるようになった」「夕食の買い物を任されるようになった」といったことも、大きな自信につながります。親戚の家など、普段と異なる環境でお手伝いを経験させ、「できたね!」とほめてもらうのもよいですね。「やればできる」経験をすると、何事にもチャレンジするのが楽しくなりますから、学習面の意欲にもつながります。

対話しながら「できない」を「できる」に変える手助けを

苦手な単元がある場合は、ぜひそれを「できる」に変えていってください。そのためには、一対一か少人数での「対話型学習」が効果的です。

たとえば、塾のテストなどで間違えた問題を抜き出しておき、「この問題、どうやって解くの? お母さんに教えて」というふうに、ご本人に説明してもらいます。途中でわからないところが出てくれば、「そこからわからないんだ。じゃあそこから一緒に考えようか」「調べてみようか」というふうにやりとりをしていくのです。一方的に「教わる」より、相手と対話しながら学ぶほうが、自分の弱点や長所がよりはっきり見えてくるというよさがあります。その際、ノートを1冊作っておき、やりとりや、その間に気付いたことをお子さまご自身にまとめてもらいましょう。このノートが、お子さまの弱点克服の記録になります。

その際、取り組む苦手単元は、5年生の1学期に習ったところだけで構いません。2日に1単元くらいこなせるといいですね。それをひと夏の間にやり抜ければ、お子さまにとって大きな自信となることでしょう。

「一緒に考える」時間を大切に

この対話型学習ですが、もちろん個別指導の先生にお願いしても構いません。ただし、任せきりにはせず、いくつかの単元についてはぜひ、お子さまと「一緒に考える」時間を持っていただきたいと思います。すると、「難しいことをやっているな」「がんばっているなあ」といった感慨がわいてくることも多いのです。

また、中学受験仲間の保護者どうしで小グループをつくり、持ち回りで得意な単元を見てあげるのもよい方法です。対話型学習を家族旅行に組み込み、涼しいところで勉強できれば、なおよいですね。

お子さまを見守るのには忍耐がつきものですが、成長を実感したときの喜びは大きいものです。仕事で忙しい保護者のかたも、この夏はぜひ、お子さまの学びにじっくり付き合ってあげてください。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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