がんばってもわからない時は、投げやりな態度になります[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
【質問】
国語の説明文、物語文が苦手です。頭の中で整理するのが苦手なようで、一人でぶつぶつ言いながら取り組んでいます。落ち着いて取り組めばできるのですが、がんばってもわからない時は、投げやりな態度になり、大声で騒ぎ始めます。親がいる時だけなのでしょうか。甘えがあるのかもしれません。どのように勉強すると改善できるのでしょうか?
相談者:小4女子(感情的・わんぱくなタイプ)のお母さま
【回答】
一緒に考えてあげることで問題解決を早める
■問題点を1つずつ考えていく
問題点を1つずつ考えていきます。まず、「説明文、物語文が苦手」ということは、全体的に国語が苦手ということでしょうか。その場合は、どこに原因があるのかチェックすることから始めましょう。語彙(ごい)の不足なのか、問題文の読みに問題があるのか、あるいは設問を解く時の問題なのか、一つひとつ調べる必要があります。
たとえば、実力テストで漢字の書き取りが10問出て、半分も書けなければ明らかに語彙不足です。また、問題文を音読させてみて、知らない言葉が頻繁に出てくるようであればこれも語彙不足です。さらに、問題文の内容はよく理解できているが、設問を解く段になると手が止まってしまうのであれば、設問の解き方を知らないのかもしれません。何が原因かがわかれば、問題解決の糸口がつかめます。たとえば語彙不足なら、1日15分程度の漢字の書き取り練習を続ければ、3か月もすれば実感できるほど力がついてくると思います。
■時間的な問題、あるいは感情の問題か?
次に、「落ち着いて取り組めばできる」というのですから、時間的な問題なのかもしれません。つまり、読むスピードが遅いとか、記述問題に手間どりすぎて時間内に終わらないなどの問題です。試験で問題を解く時はもちろん、学校でも塾でもご家庭でも時間の制約はあります。読み解くスピードが遅ければ、ご本人も焦ってパニックになるかもしれません。スピードに問題があるなら、たとえば速く読む練習をするなどして改善していく必要があります。
あるいは、性格的にパニックになりやすいのかもしれません。性格が感情的なタイプであるお子さまは、すぐに気持ちが過度に高揚してしまいがちです。そして、そのような性格の人であればあるほど、自分をコントロールする術を学ぶ必要があります。もちろん、何かに集中しなければならない時は、ある程度は気持ちを高ぶらせる必要はあります。しかし、高揚しすぎるのも困りますから、適度な状態に感情を保つ必要があるのです。特に子どもにはコントロールが難しい場合もありますが、試験時などの<時間とのせめぎ合い>に慣れる必要があります。
■ある程度考えてもわからない場合は解説を読んで理解する
「投げやりな態度で大声で騒ぐ」というのは穏やかではありませんが、保護者に甘えている可能性は高いと思います。学校や塾での様子を先生にお聞きになればすぐにわかると思いますが、そうした連絡が今までにないのであれば、まずはご家庭内だけのことだと想像します。
ところで、どんなにがんばってもわからない時は、解答解説を読んだり先生に質問したりして疑問を解消するのが一般的です。お子さまは、どのくらいの時間がんばって考えているのでしょうか? 性格的に強気なタイプでもありますから、何とか自力で解こうとがんばりすぎている可能性もあります。ある程度考えて、それでもわからなければ解説を読んで理解するという取り決めをしておいたほうが精神的にもよいと思います。
さらに、「頭の中で整理するのが苦手」なら、問題文の内容を絵や図を使ってまとめてみるとよいと思います。算数の文章題で、問題内容を線分図にして考えるのと同じです。慣れてくれば、そうした作業が頭の中でできるようになると思います。
■保護者がアドバイザーになることで問題解決が早まる
お子さまがつまずぐ原因の可能性をいくつか挙げてみましたが、実際の原因はこのうちの一つかもしれません。あるいはいくつもの原因が関わっているのかもしれませんし、このほかに問題がある可能性もあります。いずれにしても何らかの原因があると思いますが、大切なのは、保護者がお子さまと一緒に問題点を考え解決策を模索することだと思います。
お子さま一人ひとりにそれぞれ個性があるように、つまずきの原因もそれぞれです。塾や学校の先生は指導のプロではありますが、なかなか一人ひとりの生徒の状況には目が届かないものです。最終的にはそうしたプロに解決を託すにしても、まずは保護者が専属のアドバイザーとしてお子さまに寄り添い、一緒に考えてあげることが問題解決を早めると思います。