親の自己肯定感が低いと子どもはどうなる?ボーク重子さんに聞く! これからの子どもを幸せにする「非認知能力」の育み方~Lesson2 自己肯定感
- 育児・子育て
先が見通せない時代だからこそ、これからの生きる力として注目が集まる「非認知能力」。
非認知能力の教育が重視されているアメリカで、長女のスカイさんが知性だけでなく、才能やリーダーシップなどの≪非認知能力≫が求められる「全米最優秀女子高生」コンクールで優勝し、その教育法についても話題になったライフコーチのボーク重子さんに、「子どもを幸せにする≪非認知能力≫の育み方」について連載でお伺いしていきます。
第2回目の今回は、ボークさんが「非認知能力で最も大切」ともいう「自己肯定感」について、お話を伺いました。
非認知能力の要!?自己肯定感とは?
【おうちのかたのお悩み】
Q.子どもがよく「自分なんて」「どうせ僕(私)はできない」と言います。
どうすれば子どもの気持ちを前向きにできますか?
ボークさん:これは非認知能力の中で特に「自己肯定感」に課題があるケースです。
そもそも、「自己肯定感」とは何でしょうか。それは、「自分をあるがままに受け止めて、無条件に自分の価値を認める」感情のことです。お悩みのかたのように子どもが「どうせ」という場合は、この「自己肯定感」を育む必要があるのです。
自己肯定感を高める3つのポイント
自己肯定感の中にある、自尊感情と自己受容感
「自己肯定感」の定義はいろいろとありますが、ここでは「自己肯定感」の中の「自尊感情」と「自己受容感」の2つについてお話していきます。
「自尊感情」というのは、非認知能力の中でも最も基本になるものの1つであり、それは、「自分を無条件によいと思える」ことです。
この≪無条件≫というのがとても大切で、子どもがその実感を持てるためにも、親が一時的な感情で、子どもを評価したり、叱ったりしないことが大切です。
ただし、「叱る」ことは、別に悪いことではなく、うまく叱れれば、実は子どもの自己肯定感を育むことにもつながります。
ポイントは叱る時に、子どものその「行為」と「人格」を明確に「分ける」ということです。
- 自己肯定感を高めるポイント① 叱る時は「行為」と「人格」を分ける
何か悪いことをしてしまった時に、おうちのかたは「悪い子ね!」とその子自身を叱りがちですが、それでは子どもの自己肯定感を低めてしまいます。そうではなく、「やったことは悪いけれど、あなたの価値は変わらない」と伝えることで、子どもの人格は否定されません。
また叱る時には、おうちのかたが感情的にならないということも大切です。感情的にならないためには、アンガーマネージメントの観点で言えば、ワンテンポ置くことで、客観的に対処できるようになります。私はそういう時には、子どもが生まれた時のことを思い出すようにしています。子どもが生まれた瞬間は、何も望まず、ただただ生まれてきてくれてありがとうと思いました。その気持ちを思い出すことで、感情を落ち着かせ、冷静になれます。
叱られている時であっても、子どもは無条件で愛されている、受け入れられていると感じられることができれば「やったことは悪かった。次はどうすればいいかな」と、問題解決に気持ちが向かうようになります。
反対に存在や人格が否定されると、子どもも守りに入り、話を聞かなくなってしまいます。そうすると、「自分なんて」「どうせ僕(私)はできない」という思考になってしまい、問題解決へと前向きに気持ちが向かわなくなってしまうのです。
次に「自己受容感」についてお話します。
「自己受容感」というのは、「自分を≪ありのままに≫受け入れる」ことです。
ありのままとは、いいところもあるし悪いところもある自分を決して否定せず、受け入れられるということです。自己受容感が低いと、「あれができない、これができない、だからダメなんだ」と、自分の悪い所やできないことばかりに目がいってしまい、いいところが見えにくくなってしまいます。そうすると物事に前向きに取り組めないだけでなく、やる気もなくなってしまいます。もちろん努力して克服できることはありますが、私は欠点を直したり反省したりするよりも、いいところに目を向けて伸ばしたほうが、ポジティブですし、ずっといいと思います。親が「あなたにはこんなにいいところがある、こういったところが素晴らしい!」と積極的に認めてほめてあげることで、子どもの自己肯定感を低めず、育むことができると思います。
- 自己肯定感を高めるポイント② 欠点を克服するよりも、いいところを伸ばす
親の自己肯定感が低いと、子どもも低くなる
子どもは生まれてきた時、無条件に愛されていて、自己肯定感の塊です。大事なのはそれを低めずに育てること。そのためにおうちのかたは、子どもの自己肯定感を低めるような言動や態度を取らないようにすることが大切です。
これは、わかっていてもとても難しいこと。なぜなら、多くの人が「自分に対しても」そうだからです。「また失敗しちゃった、私はなんでできないんだろう」と、おうちのかたが、自分にダメ出しばかりして自分への評価が低いと、同じように子どもを見てしまいますし、さらに子ども自身も自分のダメなところばかりを見てしまい、自己肯定感を低めてしまいます。
完璧を求めすぎないことも大切
おうちのかたに、自分の自己肯定感を高める習慣があると、子どもの自己肯定感もまた、低くならずに、より高められると思います。
自分のいいところや、物事をポジティブにとらえられる姿を子どもにどんどん共有していきましょう。そういう習慣が自分にできるようになると、子どもに対してもそう接することができます。
そしてまた、完璧を求めすぎないことも大切です。「こうあるべき」という強いプレッシャーのもと、なんでも完璧にしようとすると、かえってダメなところが目立ってしまい、自分に対して余裕がなくなり、それが子どもとの向き合い方にも影響してしまうからです。
おうちのかたが「できないことはあったけど今日もがんばった!」と自分に向き合うのと、「今日もできないことばっかりだった」と向き合うのとでは、子どもへの向き合い方が違ってきます。
子どもの自己肯定感を高めたいなら、まずは親自身の自己肯定感を高めていくことが大切なのです。
- 自己肯定感を高めるポイント③ 親も自分の自己肯定感を高める
まとめ & 実践 TIPS
子どもの自己肯定感を育むためには、ありのままのその子を受け入れることが大切だとわかりました。また、おうちのかた自身の自己肯定感が低く、自分自身にダメ出しばかりをしていると、子どものダメなところばかりに目がいってしまい、さらに子どもも自己肯定感が低くなる……と悪循環になってしまうので、おうちのかた自身の自己肯定感も高めていく必要がありそうです。
非認知能力について、もっと詳しく読みたいかたはこちら
子どもを幸せにする非認知能力の育み方
- 育児・子育て