推薦入試・前期選抜か、一般入試か 高校入試の多様なシステムをどう利用する?[高校受験]
■推薦入試・前期選抜の回避は募集枠で判断?
「推薦入試」「前期選抜」でも、小論文・作文を書かせる、適性検査を実施する、学科試験を実施する、といった都道府県が増えてきました。
たとえば東京都では、「小論文・作文」実施校が、2010年度:26校 → 2011年度:36校 → 2012年度:59校 と急増しています。「進学指導重点校」「進学指導特別推進校」「進学指導推進校」など、上位校ほど実施しているのが現状です。
小論文対策、適性検査対策、学科試験対策が、「後期選抜」「一般入試」の試験勉強と異なることから、「推薦入試」「前期選抜」を回避して、「後期選抜」「一般入試」に向けた勉強に集中する、という受験生が出てきます。
実際、神奈川県のケースを例に見てみると、2006年度入試:2.40倍 → 2005年度入試:2.29倍 → 2008年度入試:2.20倍 → 2009年度入試:2.19倍 → 2010年度入試:2.17倍 → 2011年度入試2.12倍 と、「前期選抜」に挑戦する人が減って、実質倍率は年々低下しています。このような現象が生まれる背景には、「前期選抜」の募集枠が募集人員の20%、30%と低いことが挙げられます。努力しても受かる可能性が低いと考えられ、敬遠されるのです。
確かに募集枠が全体の20%以下では受験しにくいかもしれませんが、小論文、適性検査、学科試験対策自体は無駄になるものではありません。小論文対策にしても、最近の入試問題に増えている文字数の多い記述問題対策として極めて有効ですし、適性検査対策も融合問題に慣れるという点では決して無駄にはなりません。また、受験勉強自体も、同質の決まったことを繰り返しやるよりも、異なったことにまで踏み込んだほうが学力も大きく伸びるということがよくあります。
ですので、たとえば募集枠が30%あるかどうかを目安にするなどで、対策が異なるとしても「推薦入試」「前期選抜」にもチャレンジしてはどうでしょうか。二度のチャンスがあるとも言えるのですから、それを生かすことを考えてみてもいいでしょう。
■「推薦入試」で合格したあとは……
「推薦入試」などの場合、都道府県によっては12月中にはほぼ合格が決まるというケースがあります。これはこれで保護者としてもひと安心でしょうが、気を付けていただきたいことが2つあります。
・教室で浮かれない。
多くの受験生は、まだこれから受験を控えているわけです。そのような同級生の勉強の妨げになるような振る舞いは絶対しないよう、お子さまに話してください。仲のいい友達の調べものやサブノート作りなど、サポートに回るようなことをすれば、お子さまにとっても勉強になります。
・家での勉強習慣は継続する。
これまでのように3時間、4時間集中して勉強するということは、本人のモチベーションの点からも現実的には無理でしょう。しかし、家でも2時間程度は必ず勉強するクセはなくさないようにします。勉強は、通信教育のやり残し部分をやることでも、中学の教科書の復習でも、何でもいいのです。頭と体に勉強のクセをしっかり染み込ませることが目的です。高校が、推薦入試の合格者に課題を出すのも、勉強の習慣を喪失してほしくないからです。