苦手克服はほどほどに 子どもの「得意」を見極めて伸ばすコツ
人によっては中学受験が具体的に視野に入ってくる小学5年生という時期。今、取り組んでおくべきこととは何か? 中学受験のプロ、森上教育研究所の森上展安氏がアドバイスする。
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中学受験において、苦手をつくらないことは重要です。難関校の受験を視野に入れた場合、全教科得意とはいかなくても、せめて「食わず嫌い」はなくしておく必要があります。しかし、保護者が苦手克服ばかりに気をとられていると、子どもとしては「イヤなものを押し付けられている」という意識を抱きがちになります。
この時期はぜひ、お子さまの「得意」に注目してみてください。
5年生は、認知能力の特性がはっきりしてくる時期です。コミュニケーション力に深く関係している能力として、視覚、聴覚、言語能力の3つがあります。この3つにも、得意不得意があるのです。
たとえば視覚が優位な場合、写真を撮るように、映像をそのまま記憶することが得意。ものを考える時も、頭の中で、言葉より映像を操っているといいます。聴覚が優位な人は、耳から聞いたことはよく頭に入ります。町で流れている歌や、CMのフレーズなどをすぐ覚えられる人はこのタイプ。言語能力が優れた人は、文章から情景を思い浮かべたり、体験したことを文章化するのが得意です。
保護者のかたがお子さまを見ていて、どうもこの子は視覚優位で、見て理解するほうが得意だなと思ったら、文章を読ませるより、絵や写真を見せたり、図を描いて説明したりするほうがよく理解できるかもしれません。聴覚優位ならば、文章は黙読させるより、読み聞かせや読み合わせするとよく理解できる傾向があります。言語優位で本や作文が好きならば、勉強と関係があるなしにかかわらず、どんどん読んだり書いたりすることをすすめてください。
また、視覚優位の場合、一気に全体像をとらえて理解するのは得意だけれど、言葉にするのは苦手なケースがあります。一方、聴覚優位の場合、細部を順々にとらえて、全体像をゆっくりと理解していくのが得意なようです。これらは認知の仕方の特徴であって、どちらが優れているとはいえません。
認知能力は、得意な面を伸ばしてあげることが大切です。得意な認知方法を知って、それを生かせれば、勉強が非常に楽になります。お子さまの物の見方、考え方の特性をよく観察してみてください。
出典:得意をつくる![中学受験 5年生] -ベネッセ教育情報サイト