2010年度入試で何が問われたか<算数>

武蔵中学校

大問4題、小問9問の構成で、試験時間は50分。出題の難易度は昨年度よりかなり下がりました。合格に必要な得点率は80%。
算数の受験者平均点が、昨年の36.6点から53.7点に跳ね上がりました。来年は反動で少し難しくなるでしょう。

大問1(平面図形、数の性質)は、どちらもとても簡単です。大問2(速さ)は、武蔵の速さの問題としてはかなり易しいです。大問3(立体図形)もわかりやすい図がかかれているので、解きやすいでしょう。

「合否を分けた1題」は大問4(条件整理[和と差])です。一見、条件が複雑そうですが、書き出してしまえばそれほど多くのパターンはありません。

武蔵は、算数の合格者平均点と不合格者平均点が30点近く開いている一方、理科と社会では5点ほどの差しかありません。算数で合否が決まるといっても過言ではないでしょう。

駒場東邦中学校

大問4題、小問10問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は昨年度より下がっています。合格に必要な得点率は80%。

大問1(図形の移動)は、グラフを読み取って解く図形の移動の問題で、易しいです。

「合否を分けた1題」は大問2(図形の移動、立体図形)です。(1)は図形の移動、(2)は立体図形でそれぞれ独立した問題です。どちらも工夫はされていますが、それほど難しくはありません。しかし、てこずりそうだったら先の問題に進んだほうがよいでしょう。

大問3(条件整理)は、駒場東邦のこのタイプの問題としては易しめです。フェリス女学院の大問3とほぼ同じ内容です。平方数に気づけば簡単に解けるでしょう。大問4(平面図形)は、見た目ほど難しくはありません。

栄光学園中学校

大問5題、小問12問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は昨年度よりかなり上がりました。合格に必要な得点率は60%。おもしろい問題が多かったです。

大問1(数の性質)は、ウォーミングアップにちょうどいい問題です。大問2(平面図形)の(1)は作図の問題です。まずフリーハンドで予想の図をかいてから作図すると、混乱しないでしょう。大問3(点の移動)は、表に整理すれば難しくはありません。

「合否を分けた1題」は大問4(条件整理)です。極めて斬新な題材で、3問とも正解するのは簡単ではありません。試行錯誤を楽しむことができる力を養いましょう。

大問5(条件整理)も、大問4と同様斬新な問題です。すべて書き出して調べるのが最善の道です。

麻布中学校

大問5題、小問12問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は昨年度よりやや下がりました。合格に必要な得点率は75%。

大問が1題減りました。大問1(平面図形)で、いきなり試行錯誤を要する問題が出ました。(1)は簡単ですが、(2)はてこずりそうなら後回しにしてもよいでしょう。大問2は、速さの基本問題ですが、きちんと整理をしないとミスをします。ダイヤグラムをかいて整理するといいでしょう。大問3(条件整理)は、最初に通分して分母をそろえ、図の中に書き込めば簡単に解けます。大問4(平面図形)は、条件整理を丁寧にやればあっさりと解けるでしょう。

「合否を分けた1題」は大問5(速さ)です。目新しい時計の問題です。今年度は開成中でも時計の問題が出題されました。

大問5も重要ですが、大問1の(2)の時間配分も大事です。時間がかかるなと思ったら、後回しにすることも必要です。

筑波大学附属駒場中学校

大問4題、小問9問の構成で、試験時間は40分。40分でこの4題を解くのはとても大変です。出題の難易度は昨年度よりやや上がっています。合格に必要な得点率は70%。

大問1(規則性)は、ウォーミングアップにちょうどいいレベルで、時間をかければ低学年でも解ける問題です。大問2(条件整理)は、すべての場合を丁寧に調べ尽くすしかありません。

「合否を分けた1題」は大問3(図形の移動)です。筑駒で非常によく出題される「点の移動」の問題です。2秒後、3秒後、4秒後の図をかけばしくみが理解できるでしょう。

大問4(条件整理)は図形の問題ですが、数字が1つも出てきません。試行錯誤しながら少しずつ前に進むしかありません。

2010年度も「いかにも筑駒!」という問題が4題並びました。こういう問題にわくわくしながら取り組める人が筑駒に向いています。試行錯誤を楽しめることが大切です。

開成中学校

大問3題、小問9問の構成で、試験時間は60分。出題の難易度は昨年度より下がりました。合格に必要な得点率は80%。

大問1(立体図形、平面図形、数の性質)は、目新しい問題はありません。低学年でもできる問題ですので、取り組んでみるとよいでしょう。

「合否を分けた1題」は大問2(条件整理)です。(1)(2)は簡単です。(3)(4)は図を丁寧にかいて整理しましょう。

大問3(速さ)の(1)は非常に簡単です。(2)も時間をかけて整理すればそれほどてこずらないでしょう。
例年よりも算数で差がつきにくかったと思われます。


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