2010年度入試で何が問われたか<算数>
■学校別分析
雙葉中学校
大問6題、小問9問の構成で、試験時間が、昨年度までの40分から50分に変更になりました。2009年度より大問が1題増えましたが、小問の合計は1問減りました。昨年度と比較すると、出題の難易度はやや下がり、合格に必要な得点率は75%。
大問1(計算、割合[縮尺])、大問2(平面図形[面積、規則性])は、どれも易しいのですべて正解したい問題です。これは雙葉に限りませんが、すべてやり終えてからもう一度見直す時間はありませんので、計算問題は1問について3回解きましょう。自分で出した答えを1問ずつ見直しながら先に進みます。大問3は、比が絡みますが基本的な速さの問題です。ダイヤグラムをかいて考えるとわかりやすいでしょう。
「合否を分けた1題」は大問4(条件整理)です。ここであまり考えすぎてしまうと時間が足りなくなります。難しいようでしたら、あきらめて先に進んでもかまいません。
大問5(平面図形)は、難しくありません。大問6(速さ)も地道に計算すれば解けます。例年、試行錯誤して解く問題が何題か出題されていましたが、今年は大問4だけでした。算数が得意な子には物足りなく、苦手な子にはほどよく手応えのある問題だったのではないでしょうか。
女子学院中学校
大問8題、小問18問の構成で、試験時間は40分。昨年度と比較すると、出題の難易度が非常に上がりました。今回の10校の分析の中で最も解きにくい問題です。もしこの傾向が続くのであれば、今までの過去問はあまり参考になりませんので要注意です。時間も短いですから、解く順番を考えながら取り組む必要があります。合格に必要な得点率は60%。
大問1(計算、平面図形[角度、比]、条件整理)の(3)は難しいです。角度の問題は、入試で取り上げられることが少ないのですが、女子学院ではよく出題されます。この問題はあきらめて先に進んだほうがいいでしょう。(5)は、低学年にもおすすめの問題です。大問2(条件整理)はパズル雑誌に載っているような問題です。時間をかければ解けますが、短時間内で正解するのは難しいでしょう。大問3(速さ)はそれほど難しくありません。ダイヤグラムをかいてみるとわかりやすいでしょう。(1)ができれば(2)も正解できます。
「合否を分けた1題」は大問4(平面図形)です。この問題は、中心の位置がずれていくのでとまどうかもしれません。(1)ができれば(2)(3)も正解できます。
今年度は、大問3とこの大問4ができたかどうかで差がついたのではないでしょうか。
大問5(立体図形[展開図])、大問6(立体図形[グラフ])は易しいです。大問7(条件整理)は熱中するとすぐに15分くらいたってしまうので、注意が必要な問題です。大問8(割合)は、2010年度の問題の中では解きやすいといえる問題です。
フェリス女学院中学校
大問5題、小問16問の構成で、試験時間は45分。出題の難易度は昨年度よりやや上がっています。合格に必要な得点率は75%。
大問1(計算、数の性質、割合、平面図形)の(4)(5)にてこずりそうな場合は、後回しにしたほうがよいでしょう。大問2は、速さの基本的な問題です。
「合否を分けた1題」は大問3(数の性質)です。(1)で、手で書いて調べれば全部解けます。平方数に気付けば簡単です。気付かないと苦戦するかもしれません。
大問4(平面図形)は、例年だと大問5にくる問題ですが、それほど難しくありません。大問5(立体図形)は難しいので、あきらめても合否に影響はないでしょう。
なお、フェリス女学院は、2011年度入試から算数の試験時間が50分になり、算数と国語の配点率が高くなります。思考力を要求される難しい問題が増えると予測されます。
桜蔭中学校
大問5題、小問15問の構成で、試験時間は50分。出題の難易度は昨年度より下がっています。合格に必要な得点率は80%。
大問1(計算、条件整理、平面図形)は、どれも易しいので全問正解したい問題です。計算問題は、3回ずつ解いて確実に正解を出しましょう。大問2(条件整理)は、書き出しさえすれば簡単に解けます。大問3は速さの基本問題です。ここまでを15分で解ければ、次の大問4と大問5で15分ずつ使うことができます。大問4は、頻出の立方体の切り口の問題です。家では、例えばチーズを使って実際に切ってみるとわかりやすいでしょう。
「合否を分けた1題」は大問5(グラフ)です。条件が複雑ですが、それほど難しくはありません。