しっかりとした学力をつけるうえで、親ができること 第3回[高校受験]
■「新学習指導要領」で求められる学力
●入試問題にも反映
中学校では2012年度から「新学習指導要領」が実施されることはご存じかと思います。すでに数学・理科などでは移行措置に入って、学習量が格段に増えていますが……。
この「新学習指導要領」が掲げている学力には次の3つがあります。
1. | 基礎的・基本的な知識及び技能 |
2. | 知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力 |
3. | 主体的に学習に取り組む態度(学習意欲) |
この学力観は入試問題そのものにも影響してくるのです。例えば、神奈川県では目下「入学者選抜制度の改善」について検討が進められていますが、学力検査については、「現行以上に、基礎的・基本的な知識及び技能に加え、課題解決に必要となる思考力、判断力、表現力その他の能力などについても把握することができる検査内容となるよう、さらに改善することが求められる。」という答申が出されています。
すでに学力検査で、こうした学力観を反映した入試問題を実施している県もあるほどですから、お子さまが机に向かってひたすら問題集を解いていれば安心というものではないことがおわかりいただけるかと思います。
では、親としてはどのようなことを心がければいいのでしょうか。すぐできそうなことを2つほど挙げてみましょう。
<子どものいるところで、本を読む、調べる作業をする>
親が本を読まないで、子どもが読むわけがありません。居間にはさまざまなジャンルの本を置いておき、親自身が読んでいる姿を見せましょう。最初のうちは大人が読んでも子どもが読んでもおもしろい作家の小説などがいいかもしれません。
また、辞書をひく、世界地図で場所を探す、時刻表を調べるといった時には、必ず子どもも参加させるようにします。そうしたことを一緒にすることで、初めて子どもは自分で調べるクセがつきます。時間がかかっても、子どもにやらせることが大切です。
<自然体験、社会体験をさせる>
昔に比べると、住居事情が異なるせいもありますが、今の子どもたちは動物を飼ったり、植物を育てたりする経験が乏しくなっています。虫に触れなかったり、裸足で泥の中に入れなかったり……。教科の勉強以外の経験が乏しいと、おもしろがるもの、強い関心を抱くものが見つからなかったりします。子どもは大好きなものについてはいつまでもかかわり続けます。そうしたこだわる経験があって初めて、自分から調べる姿勢が自然と身に付き、深い勉強につながります。
ですから、この「大好きなもの」に出合うきっかけをつくってあげていただきたいのです。長い目で見れば、テキストに向かう時間よりも、子どもの成長に影響を与えます。
ごく当たり前のことを述べてきました。一つひとつは決して難しいことではありません。ただ、これらを続けることは案外難しいものです。できることだけでも始めてみてください。