なぜまちがえる? 4年生の算数 [中学受験 4年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。4年生の秋以降に注意したい、算数の学習法について取り上げます。



■まちがえるほうが当たり前

中学受験の問題は「まちがえさせるように」できています。基礎さえおさえれば必ず正解できるような易しい問題のほうが、本来は学習初心者向きなのですが、受験問題にはまちがえさせるような落とし穴がしかけられています。また、従来は5年生以上で取り組んでいた複合問題に、4年生で取り組ませる塾も増えています。解くために必要な要素が複数あるため、途中でつまずいてしまうし、絡まったひもを解こうとしても、結び目が二重三重になっている。お子さまにとってはそんな印象かもしれません。
ですから、保護者のかたはぜひ「まちがえるほうが普通」と思ってください。まったくまちがえないお子さまは、飛び抜けて能力が高いか、問題の意味さえわからずに解き方を暗記しているだけか、どちらかのケースがほとんどです。お子さまがまちがえても「だめだね」「なぜまちがえたの」といった言葉で非難することは絶対にやめましょう。

なお、まちがえてしまう原因としては

 ・問題の意味がわからない
 ・途中で計算ミスをする
 ・解くために必要な要素が多すぎる・難しすぎる
 ・やる気が出ない

……などが考えられます。



問題の意味がわからない→声を出して読む・図にする練習を

「問題の意味がわかっていないんじゃないかな」と思ったら、ぜひお子さまに、問題文を声に出して読んでもらってください。意味を理解しているかどうかは、読み方でわかります。また、「角度」とか「線分」、あるいは「倍数」「約数」といった用語がわかっていない場合もありますから、「これってどういうことだっけ」と会話しながら確認してあげてください。また、図にできるものは描きながら理解する癖を付けられるよう、テキストの解説を見ながら指導してあげるとよいですね。
「何を聞かれているか」自力で正確に理解できるようになれば、しめたものです。



計算ミスをしがち→筆算で正確さを養って

中学受験の計算問題は単純ではなく、何段階かの計算が必要なものも多いため、途中でミスをすると不正解になってしまいます。ミスが多い場合は、横書きのままでなく、縦書きの筆算に書き換えて丁寧に計算する癖を付けると、正答率が上がってきます。



難しすぎる→同じ単元の易しい問題を

そもそも、塾などで出されている問題のレベルが高すぎて歯が立たない場合もあります。そんな時は問題集を用意し、「こっちなら解けるかな」と同じ単元の易しい問題を出してみましょう。今は、その単元の基本問題さえできれば大丈夫。歯が立たない問題に無理に取り組ませる必要はありません。「そのうちできるようになるよ」と言ってあげてください。
6年生までの間に、子どもの認知能力は大きく伸びます。1年たつと「なぜこれがわからなかったんだろう」とご本人が不思議がるほど、簡単に解けるようになるケースも多いですね。



やる気が出ない→解き方のコツを教えて解く楽しさを

やる気が出ず、途中であきらめてしまう理由としては「難しすぎる」意外に、「面白くない」「コツがつかめない」といった原因も考えられます。
パズルやなぞなぞのような問題なら飛び付くタイプのお子さまなら、『なぞぺー』シリーズなどの面白い問題集の中から、同じ単元の問題を探してあげるのも手です。また、パズル的な問題もまじめに考え込んでしまい、まったく面白さがわからないというお子さまの場合は、ぜひ解き方や考え方のコツを教えて、「解ける」楽しさを一度でも実感させてあげることが大切です。

たとえば、展開図や立体の切り口を問う「空間図形」の問題は、そもそもパズルのようなものです。ぜひ、実際に展開図を作って組み立てる、消しゴムや粘土などを利用して立体を切るなど、具体的な物を使って解く体験をさせてあげてください。頭の中だけで解こうとすると難しいのですが、実物で「遊ぶ」ことで解く感覚が簡単に身に付きます。展開図を家の床、壁、天井にたとえることで、空間図形の問題が解けるようになったお子さまもいましたね。
また、「1から100までのすべての自然数の和は?」といった典型的な計算問題は、速くて楽な解き方のコツをそのまま覚えてしまうという手もあります。「これはうまいやり方だ!」という気持ちが動けば、解き方が印象に残り、似た問題が出た時も応用が利きます。



まちがえた問題はその週のうちに1度、1か月後にもう1度解き直す

まちがえた問題は、専用の「まちがいノート」に整理しておき(第5回参照)、その週のうちに一度、1か月後にもう1度解き直すようにしてください。くり返し解き直すことで、解き方がよりしっかりと身に付きます。解き直してもまたまちがえるのはよくあることですから、叱らないこと。正解できたら、大きな花まるを付けてあげるなどして、ほめてあげてください。「まちがえた」から自分にとって苦手な問題なんだ、という意識を持たせないことが大事です。「この補助線をひいたら解けた!」といった成功体験を、しっかり記憶に残してあげられるとよいですね。

『小学4年~6年生 考える力がつく算数脳パズル 鉄腕なぞぺー』『小学4年~6年生 考える力がつく算数脳パズル 鉄腕なぞぺー』
(高濱正伸著、草思社)

<明治書院/中江有里(著)/1296円=税込>

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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