大学進学の数字の見方 難関私立大学に進学している高校を分析 【関西編】 [高校受験]
■関西の難関私立大学の状況は?
関西の難関私立大学=関関同立(関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学)を取り上げて考えます。
■公立高校が圧倒的に強い関関同立
最難関私立大学、難関私立大学(関東)と同様に、関西圏以外の学校は登場しまません。しかも大半が大阪府と兵庫県の学校です。大阪府が18校、兵庫県が12校で、それ以外は奈良が3校、京都が1校のみで、滋賀県、和歌山県はありません。同志社大、立命館大の地元の京都が1校しかないことは意外ですが、京都府は2013年まで総合選抜制を採用していたことで、公立高校が一部の学校を除き平準化していることが大きいでしょう。
難関私立大学(関東)と同様、公立高校が34校と7割近くを占めています。大阪府には東京都の「進学指導重点校」、「進学指導特別推進校」、神奈川県の「学力向上進学重点校」に相当する「文理学科」があるので、該当する学校を調べてみると、18校のうち4校(豊中、四条畷、高津、生野)が当てはまりました。ただし、文理学科の中でも難関とされる北野、天王寺、三国丘、茨木、大手前がランクインしていないことは、東京都で「進学指導重点校」がないこと、神奈川で横浜翠嵐、湘南がないことと軌を一にします。
北野、天王寺、三国丘は難関国立大学に登場していますから、同じ文理学科でも進路状況は大きく異なることが見てとれます。兵庫でも、難関国立大学に登場していた神戸はここには顔を出していません。
■「合格者」と「進学者」の差は高校、大学で違う
次に、「現役合格者」の数字と「現役進学者」の数字に注目してみましょう。たとえば、1位の寝屋川を見てみると、「現役合格者」のうち関西大は3.3人に1人、関西学院大は2.2人に1人、同志社大は1.9に1人、立命館大は5.3人に1人が進学していて、大学によって差があります。兵庫の国際も見てみると、「現役合格者」のうち関西大は4.3人に1人、関西学院大は3人に1人、同志社大2.3に1人、立命館大は12.5人に1人が進学していて、大学による差はさらに大きくなっています。一方、奈良の平城を見てみると、関西大は3.1人に1人、関西学院大は2人に1人、同志社大2.3に1人、立命館大は2.8人に1人が進学していて、大学による差はほとんどありません。
大学の難易度、特色と同時に大学の立地が影響していると思われます。そこで現役進学者数が多い上位5校の所在地を出してみました。次のようになりました。
◆関西大 大阪、大阪、奈良、大阪、大阪
◆関西学院大 大阪、大阪、兵庫、兵庫、兵庫・大阪・兵庫・兵庫(5位は4校同数)
◆同志社大 大阪、奈良、大阪、奈良、奈良・大阪(5位は2校同数)
◆立命館大 大阪、大阪、京都、大阪、大阪・大阪(5位は2校同数)
大阪の校数が圧倒的に多いので、大阪が並びますが、ここでも関東と同様にキャンパスの場所による傾向がクッキリ出ています。大阪の関西大、兵庫の関西学院大、奈良の同志社大(奈良に近い京田辺にキャンパスがあります)は文字どおりそうしたことが言えるでしょう。自宅から通える大学を選んでいるということも、この表からは読みとれるわけです。
今月、4回に分けて紹介した今回の表に、お子さんの志望校は出てきていないかもしれません。しかし、今回の記事で知っていただきたいことは、お子さんの志望校の大学進学の数字ではなく、以下のようなことです。
・大学グループで見ると、現役進学者が多い学校は顔ぶれが大きく異なる。
・進学するとなると通いやすさを重視している。
これらを踏まえ、これから志望校を考えていくうえで、お子さんが少しでも「難しい学校にチャレンジしてみよう」という気になってくれることを願います。