大学進学の数字の見方 最難関私立大学は公立高校にとっては「苦手分野」[高校受験]

■最難関私立大学は公立高校にとっては「苦手分野」

前回は、各高校の難関国立大学への進学数についてお話ししました。今回は、最難関私立大学について検討します。

■英語教育に力を入れている公立高校が最難関私立大学に強い

最難関私立大学になると50位までには東京近郊の都県以外の高校は入ってきません。東京の私立大学に進学するには下宿しなければならないので経済的に難しいということで、地方の高校生は地元の国公立志向になるからでしょう。
最難関私立大学になると公立高校は少なく、わずか6校しかありません。うち4校が神奈川と意外な結果でした。横浜国際、横浜翠嵐、柏陽、横浜緑ヶ丘とすべて横浜市内の学校です。東京の2校は国際と戸山。国際、横浜国際といった英語教育に力を入れている公立が最難関私立大学には強いことがわかります。2校とも上智大への進学者が多いことが共通しています。
ちなみに難関国立大学のランキングには登場しなかった私立の高校単独校(併設中学のない高校だけの学校)が1校ランクインしています。国際基督教大学高等学校です。帰国生徒が多いことがランキング入りを可能にしている面があります。
表にはありませんが、最難関私立大学は私立の中高一貫校が圧倒的に強くなっています。それも女子校が強いことが特徴です。50校中20校を占めています(男子校は13校、共学校は8校)。慶応大、上智大が高い英語力を求めていることが影響しています。国立大学附属は2校です。



■「合格者数」ではわからない

今回の表は、普段見慣れている「合格者数」(1人で何校もの大学・学部に合格していても、それらをすべて合計)のランキングの表とは登場している学校が大きく異なっていることにお気付きでしょうか。「合格者数」は当然のことですが卒業生数の多い学校が多くなります。したがって、卒業生数が少ない小規模の高校は保護者の目にふれにくくなっています。が、「率」にすると、卒業生数が少ない学校は分母が小さくなるので、この表のように逆にランキングの上位にくることが多くなります。
このように「合格者数」では正確な進学実績はわからないのです。ですからお子さんの学校選択においても、大規模な高校だけではなく、小規模の高校にも目を向けられるといいと思います。

また、現役合格者の数字と現役進学者の数字の差に注目すると、慶応大は差が小さく、東京理科大は差が大きいことに気付きます。これは、慶応大がセンター試験利用入試を採用していない、一般入試に国語がなく小論文を課すなど、他の多くの私立大学と異なる入試スタイルなので、慶応大の受験者は第一志望者の比率が高くなっていることによります(他の有名大学に比べ受験者数が多くならないのはそのためです)。一方、東京理科大は国立大学をはじめ、早稲田大、慶応大の理工系受験者がみな併願するので、どうしてもこの差が大きくなってしまいます。

表からはこうした入試の状況も読みとれます。ですから、単純にこの差の多寡で大学の評価をすることは適切ではありません。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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