ほめると叱るは3:1 中学受験の専門家が語る「叱らない技術」
中学受験を目指すと決めたなら、年次ごとに取り組むべき重点事項がある。受験勉強のスタートともなる、4年生の家庭学習の指導で注意したい点について、森上教育研究所の森上展安氏に話を伺った。
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受験勉強を開始後は、成績によって塾のクラス分けや席次が決まるなど、子どもたちがはっきりと「序列」を付けられるようになります。序列が思うように上がらないと、大人は歯がゆくなり、どうしても叱りたくなりがち。受験勉強が始まったとたん、大人は叱る材料に事欠かなくなります。
保護者が厳しくしつけるべきことは「うそをつかない」「約束を守る」といった社会規範に関わる部分です。勉強に関して子どもを叱っても、子どもの気持ちが前向きになることはまずなく、自主性をそぐばかりでよいことはありません。大切なのは、子どもが自分から勉強に向かえるようにサポートすること。そのために大人に必要なのはむしろ、「叱らない技術」かもしれません。
どうしても子どもに厳しく言わなければならない場合は、「~しなさい」と強制するのではなく、「私は~と感じる」のように、自分を主語にして気持ちを伝えることが大事です。たとえば「あなたならできると思っていたのに、お母さんは残念だわ」というふうに。このような言い方をI(アイ)・メッセージといいます。Iメッセージにすると、相手の気持ちや主体性も尊重しやすくなります。
行動学では「ほめる」と「叱る」の比率は3:1だと受け入れやすくなるといいます。よいところをほめたあとで、一つだけ注意するとよいようです。なにより大事なのは、子どもの成長を楽しむこと。楽しむ余裕がなくなってしまったら、いったん勉強をお休みしてしばらく子どもを自由にさせるのも一つの方法です。「勉強しなくていいの?」と子どもが言い始めたころが、勉強再開のよいタイミングかもしれません。