BGMを流して異性と会話をすると好感度アップ!? 認知心理学の教授がメカニズムを解説
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は音楽心理学を探究している、青山学院大学教育学部人間科学科の重野純氏の研究室に伺った。
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私が専門としている認知心理学とは、人間の認知活動の仕組みを、実験を通して解明していく学問です。「認知」の中でも、聴覚に関わる認知活動が専門で、主に音、音楽、音声言語の3つを研究対象として、それらと人との関わり合いを研究しています。たとえば、音楽は人の気持ちにどのような影響を与えるのか? という研究では、音楽(BGM)を流して異性と会話をすると、音楽がない時と比べて好感度がアップする、という傾向が認められました。コミュニケーションや恋愛で、「音」は重要な要素であることが、明らかになったのです。
また、日本人は音に対して敏感で繊細な感受性を持っています。欧米人に比べ、声の微妙なニュアンスから心理状況を読みとれる人が多いということが研究からわかっています。顔の表情はユニバーサルだといわれていますが、声のニュアンスを読むことには文化間に差があるということを知っておくのは、国際社会に出ていく上で大事なことです。人の心のメカニズムを知っておけば、どの分野に進むとしても非常に役に立つと思います。
認知心理学は、実験心理学に位置付けられています。仮説を立て、それを検証するための予備実験を行い、コツコツと材料を集め、仮説を立証していきます。どうして人はこうした行動をとるのかな? そんな日常のふとした疑問をコツコツ実験によって明らかにしたい、という人にぜひ学んでいただきたい分野です。