新学年のスタートにあたって…… 第3回 お子さまを「大人」にしていただきたい[高校合格言コラム]
お子さまを「大人」にしていただきたい
前回は、お子さまへの声のかけ方についてお話ししました。今回は、いかにしてお子さまを「大人」にするか、という点についてお伝えします。
●社会にも目を向けさせる
私は仕事柄、高校から難関大学に進学したばかりの人に取材をすることがありますが、多くの学生がとても子どもっぽいことにがくぜんとし、危機感すら覚えています。
難関大学突破のために、ひたすら教科の勉強しかしてこなかったのが、その理由ではないでしょうか。私が高校生の頃には、社会の現実に目を向け、その矛盾を考え、「自分は無関心でいいのか」「無批判でいいのか」などといったことを考えたものです。そしてそれが精神年齢を高くしたように思います。
今の時代の保護者のかたは、そんなことは必要ないとお考えかもしれませんが、諸外国の若者はそうしたことを考えています。お子さまは、これからグローバル化した社会に出ていくわけです。そして、ごく普通に海外の若者とやりとりするようになります。そうした時に、普段から政治・経済・社会に関心を持っていないと、相手と対等に話すことができません。
ぜひ今から、ご家庭でも国際問題、社会問題について会話を交わすようなことをしてはどうでしょう。いきなり、大きなテーマについて話し合うことは難しいでしょうから、「消費税が上がって旅行代金も高くなったから、今度のGWの家族旅行は近場にするか」、「おじいさん、おばあさんの介護だけど、○○も少し手伝ってくれないかな」といった身近な問題を材料に切り出すといいかと思います。
また、そうした時に注意していただきたいのは、保護者のかたがしゃべってしまうのではなく、お子さまが話すよう仕向けることです。保護者のかたは、上手な「聞き役」になることがポイントです。
●「横の成長」が人生を助ける
私は保護者のかた向けの講演をよく依頼されるのですが、今年のテーマのひとつに「横の成長」ということを考えています。保護者のかたはどうしても、成績の向上、大学進学、資格・検定の取得など「縦の成長」ばかりを意識しがちです。が、私のように独立して小さな教育研究所をやっていると、周囲に支えてくれる人がいること、自分もフォロワーシップを持つこと、親切心があること、落ち込んだ時に支えてくれる友がいることなど、「横の成長」が、能力などの「縦の成長」以上に大切なことを感じています。
お子さまを大人にするうえでは、「縦の成長」と同じくらい「横の成長」も意識して子育てをしてください。
次回は、改めてお子さまの「しつけ」についてお話しします。