記述問題や作文、感想文などがとても苦手です[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3男子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま


質問

普段読書をしないせいか、記述問題や作文、感想文などがとても苦手です。作文や感想文を書く際に「どう思ったか」「自分ならどうするか」を入れてみてはとアドバイスすると、本当にそれだけを書いて2行で終わる始末。このままではいけないと、小学生新聞の連載を毎日読ませることにしました。しかし、これだけで変わるとは思えませんので、さらに作文添削の通信教育も近々させる予定です。


小泉先生のアドバイス

素晴らしい文章を書く鍛錬は、素晴らしい文章をマネることから。

読書習慣のある子どもたちは、確かに作文や感想文などが得意なことが多いようです。中には、「これが小学生の書いたものか」と思えるほどの文章を書く子どももいます。しかし、そのような文章であっても、必ずしも彼らが天賦の才の持ち主であるとは限らないようです。なぜなら、そのような文章は、多くの優れた文章を読み、その表現や文章の構成などを身に付ける、つまり“マネをする”ことにより書けるようになるからです。

“マネをする”というと、違和感を覚えるかたもいらっしゃるでしょう。作文や感想文は、それこそ書き手のオリジナリティーあふれるものであるべきもので、モノマネなどとんでもないと思われるかもしれません。しかし、本当の意味で独創的な文章を書ける小学生は、めったにいないのではないでしょうか。

普段、私たちが目にするいわゆる「優秀な子どもたち」の優れた作品は、多くの場合、彼らがどこかで読んだ物語や作文などの一部を無意識にマネているのだと思います。そしてそれは、決して非難されることではないのです。もちろん、ほとんどそのままの文章を写してしまうのでは困ります。しかし、他の人の文章を読み、自分なりに考え消化したうえで書いたものであれば、それはその子のオリジナルといえると思います。くり返しになりますが、すばらしい文章をマネることこそが、すばらしい文章を書く鍛錬の事始めといえるでしょう。

さて、お子さまの苦手の件ですが、やはり、お手本となる文章をあまり目にしていなかったことに原因があると思います。普段から読書をしていないと、表現や文章の構成をどのように書いてよいかわからないでしょう。対策としては、小学生新聞や通信教育などもよいと思います。しかし、前述のように“学ぶ”ことは“マネる”ことですから、他の子どもの作文を読ませて、書き方を“マネさせる”ことも1つの方法です。お手本として、上手に書けた作品を何本か読ませ、「なぜよい文章なのか?」「どのように書けばよいのか?」を一緒に考えていきましょう。そして、お手本の作文に沿って同じような構成で、お子さま自身の体験の作文を書かせてください。

もちろん丸写しでは困りますから、たとえばお手本の作文では「みんなで食べたお弁当が楽しかった」を、お子さまなりに「水族館が楽しかった」などと書き換えることは必要です。よいお手本であれば、「何が」「どのように」「なぜ」楽しかったなど、作文にとって重要な要素が書いてあるでしょう。お子さまもそれと同じように、何がどのように楽しかったかを自分なりに書いていけばよいでしょう。そして、首尾よく書き上げられれば、それは1つの書き方の型ができあがったということです。作文が上手になるためには、その型の種類を増やしていけばよいでしょう。そして、いくつかの型を上手に組み合わせるなどして、自分なりの表現や工夫ができるようになれば、自分の作文が書けるようになったといえるでしょう。

なお、見本の作文や感想文ですが、やはりできるだけ優秀な作品を参考にしたいものです。インターネットで検索すれば、作文や感想文の例はいくつか見つけられると思います。作文添削を始めるにしても、まずはそのような練習をすることで基礎的な書く力を身に付けるとよいと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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