「推薦入試」がなくなる? 変わりゆく公立高校の選抜方法
これまで、公立高校では受験機会複数化の一環として、「推薦入試」と「一般入試」の2つが行われていたところが多かった。ところが、昨今この大原則は崩れてきているという。今後、高校入試はどうなってゆくのだろうか。高校受験のスペシャリスト、安田教育研究所の安田理氏にお話を伺った。
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各都道府県で行われている、公立高校の入試の形態を名称には、「推薦」「一般」のほか、「前期・後期」、「特色」などがあります。推薦入試や一般入試のほかに、もう1種類の入試があるケースも見受けられます。
しかし、「推薦」という名称でありながら、都道府県によっては中学校長の推薦がいらなかったり、適性検査があったりすることや、同じ「前期」という名称でありながら、学力検査があるところもあれば、ないところもあることなど、名称だけでは入試の内容を判断しづらくなっています。「筆記試験の有無」「適性検査なのか、教科別の学力検査なのか」などを、学校や塾の先生に確認しておきましょう。
今後の推薦入試をめぐって、以下のことがすでに決定、あるいは想定される事項です。
● 推薦入試という名称の入試を行っているのは27都道府県
● 中学校長の推薦が必要ない入試が広がる(これにしたがい、名称も「前期選抜」、「前期募集」、「特色化選抜」等に変更される)
● 従来は調査書の成績(内申点)と面接・作文で選考していたが、「適性検査」も課す都道府県が出てきた
● 調査書の評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わったことで、中学校で付けられる評定の差が拡大。唯一「相対評価」であった大阪府も「絶対評価」になる
「絶対評価」になってから、中学校で付けられる成績が全体的に甘くなっていることもあり、高校側に調査書への不信感が生まれています。そのため、推薦入試の大原則であった「中学校長の推薦」「調査書の成績による選抜」が崩れてきて、面接、集団討論、自己表現、作文、小論文、適性検査、学校独自問題による検査など、学校ごとにさまざまな方法で選抜を行うようになってきているのです。