「国際バカロレア」を日本の公立高校にも! スタートしたグローバル化の試み
文部科学省は、高校教育の国際化の面から「国際バカロレア」に注目している。国際バカロレアの仕組みについて、教育ジャーナリストの斎藤剛史氏が解説する。
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原則、大学入試のない西欧諸国では、高校卒業者の質を保証するために、大学入学資格試験を実施する国があります。フランスの「バカロレア」、ドイツの「アビトゥア」が有名で、これらの国では、高校卒業資格と大学入学資格試験の合格がセットになっています。
一方、世界各国には、外国人子女の教育機関としてインターナショナルスクールがあります。その教育課程は多様で、教育内容やレベルが大きく異なります。こうしたインターナショナルスクールの卒業生に対して、大学に入学するに足る能力があることを保証する国際的な大学入学資格試験が、国際バカロレアです。スイスのジュネーブに本部を置く、国際バカロレア機構によって実施されています。日本でも国際バカロレアが大学入学資格として認められ、インターナショナルスクールの卒業生などが国内の大学を受験する際に利用されます。
国際バカロレアを受験するには、国際バカロレア機構が決めたプログラムを実施する認定校で教育を受ける必要があります。日本の認定校のほとんどはインターナショナルスクールで、通常校での認定校はごく少数です。
文科省の懇談会は、グローバル社会で活躍できる人材を育成するために、国際バカロレア機構の認定校を増やす必要があると提言。これを受け、2012(平成24)年度文科省概算要求では「国際バカロレアの趣旨を踏まえた教育の推進」事業が盛り込まれました。日本の公立高校で認定校を増やすために、研究校指定などの取り組みがスタートしたのです。
認定校になれば、その高校の卒業生は世界中の大学で教育を受けるに足る能力があると認められることにつながります。国際化のみならず高校教育の質の保証という面からも、今後の動向が注目されます。