【回答:若泉 敏】適性検査・受検対策<その6>
「中学受検は親子の受検」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受検準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。
公立中高一貫校受検と部活のバランスは?
模試はいつ頃から受ければいいでしょうか?
公立中高一貫校の受検でどのような準備が必要でしょうか?
公立中高一貫校受検と部活のバランスは?
Q | 県立の中高一貫校の受検を予定していますが、この時期になっても今までと変わらず宿題以外で机に向かうことがありません。進研ゼミの『チャレンジ6年生』も受講したのですが、こまめに計画を立てている割にはあまり進んでいない様子です。週に4日部活の練習があり、休日には試合が入ったり、9月からは市の小学生体育大会の練習が始まったりと忙しい様子ではあるのですが、8月の模擬試験の結果もあまり良くなかったので、合格できるのか心配です。ちなみに入試まであと4か月しかありません。 |
A | 公立中高一貫校の受検は、親子で取り組むもの。親が過去問で出題傾向を把握して、対策をしっかり立て、子どもと一緒にあと4か月しっかり取り組もう 部活や行事が多く、お子さんのエンジンのかかり具合がいま一つのようですね。保護者のかたの焦りといらだちと心配が読み取れます。しかしお子さんは宿題をきちんとやっているようですから、親子で約束をして課題をはっきりさせると学習に打ち込めるのではないでしょうか。部活もやるが、受検の対策もしっかり行うという強い意志をもたせることが大切です。 ところで公立中高一貫校受検は、親子が共同で取り組むべきものだということを意識しておられるでしょうか。たとえ、お子さんが自分で「受検したい」と言ってきた場合であっても、親がかかわらなければいけません。「小学生が受検準備を計画的に行っていくことは難しい」と考えるべきです。 親は、まず公立中高一貫校の過去の出題傾向を把握することです。適性検査等を実施するにあたって、教育委員会や学校は実施要綱や学校の教育目標、さらに検査問題の出題の方針などをホームページで公開していますから、説明会等への出席も含めて、準備を怠りなく行うことが、親の務めとして必要です。そのうえで、お子さんとよく話し合って、具体的にいつ何を行うか、計画を立てて実行できるようにしていきましょう。 8月の模擬試験の結果は、心配されることはありません。志望校の問題と関係する課題について親が判断し、復習と対策を十分に行ってください。くれぐれも親子が一緒になって取り組む受検であることを意識して、あと4か月を有意義に過ごしましょう。適性検査対策を通して親も、子どもと共に学び成長することが求められています。 |
模試はいつ頃から受ければいいでしょうか?
Q | 公立中高一貫校の受検を考えています。現在、4年生です。まだ塾には行っていませんが、いつ頃から模試を受ければよいでしょうか? |
A | 4、5年生の間は、模試を上手に利用して、その時点での適性検査の力を測りながらその後の対策を立てよう 一般的に4年生段階の成績と、本番の適性検査で測る実力との相関関係はあまりありません。しかし、4年生から模擬テストを受けることで、公立中高一貫校で課される「適性検査」の特徴を体感できます。その時点でのお子さんの適性検査に向けた力を把握して、不足している力を知り、その後の対策を立てることが可能になります。 したがって、あくまでもその時点での力を測るものであるということを心に留めて、成績だけに一喜一憂せず、改善すべき記述力はどこか、資料や表の読み取りの弱点はないかなど、課題を見つける目的で模試を受けるなら、4、5年生でも意義があります。 公立中高一貫校の適性検査は、原則として小学6年生の学習をほぼ終了した段階での力を問うものです。しかもその目標とする志望校の学習やその他の活動に参加できるかどうかを判断しようとする検査ですから、本来の意味での模試としては、6年生になってから受けるのが基本です。 6年生になってからは、時間配分を確かめたり問題の取捨選択力を実践したりするためにも、夏休み明けごろから行われる模試を数回受けたほうがよいでしょう。 |
公立中高一貫校の受検でどのような準備が必要でしょうか?
Q | さいたま市立浦和中学校の受検を考えています。本人は積極的な性格で、遊び・運動・勉強なども楽しんで学校生活を送っています。現在1年生ですが、今からどのような準備をしたらよいでしょうか? |
A | 低学年の間は、幅広い読書習慣をつけ語彙(ごい)を豊かにし、読解力を伸ばそう さいたま市立浦和中学校の適性検査は、各教科の知識理解を私立受験と同レベルで問う傾向になっています。対象となる児童はさいたま市在住に限るという特殊事情もあります。 さいたま市は、都内の私立中学に通う生徒たちも比較的多い土地柄なため、私立中学受験を意識した児童が実力を発揮するのに十分だ、と思うような手ごわい問題を作る必要性があったと思われます。 短時間で膨大な量の文章を読ませ、即断して解答させる出題であり、小学校の勉強だけで対処できるとは考えられません。ただ適性検査である以上、地域特性も盛り込まれているので、さいたま市および埼玉県の特徴を十分に学習して知識をもったうえで臨む姿勢も必要です。小学校の3・4年の理科・社会は重視しなければいけません。 具体的な準備としては、低学年の間は偏りのない興味関心を培っていくことが大切です。幅広い読書の習慣をつけ、語彙を豊かにし、国語読解力を伸ばしていきましょう。速読即解の底力をつけることは、同校をめざす場合は武器になります。 低学年から塾に通う必要はなく、むしろエネルギーのポテンシャルの高い意欲のあるお子さんにしておくことです。遊び、運動、手伝いを楽しんでやることに加え、通信教材などを使ってコンスタントな学習習慣を身につけることを心がけてください。 |