2012年の日本の政治の動きを振り返る

2012年、日本の政治は激しく揺れ動きました。民主党が分裂する一方で日本維新の会などの新しい政党がいくつも生まれ、混乱の中で衆議院が解散。総選挙が行われて自民党が大勝し、民主党から自民党への政権交代が起こりました。今回は、中学入試でもよく問われる、1年間の日本の政治の動きについて振り返ってみましょう。



クイズde基礎知識

消費税は2015年に何%になる?/一票の格差はどれくらい?/自民党の新総裁に選ばれたのは?/日本維新の会の代表は?/2012年12月総選挙での民主党の獲得議席数は?


時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

Q1

2012年8月の国会で成立した「社会保障と税の一体改革関連法」では、消費税は2015年に何%に引き上げるとされている?


A.5%
B.8%
C.10%


A1 正解は 「C.10%」 です。


消費税とは、物を買うことに対してかかる税金のことで、価格に上乗せされていて、消費者から預かった金額から、店などが納めます。

民主党の野田政権は、国の財政難を改善するために消費税の増税の方針を打ち出し、2012年8月の国会で、消費税の増税を柱とする「社会保障と税の一体改革関連法」が成立しました。これにより、消費税の税率は、5%から2014年には8%、2015年には10%に上がることになります。

世界各国の消費税は日本よりも高いところがほとんどです。ただし、食料品など生活に欠かせないものは消費税を低く抑えているところも多く、イギリスは20%に対して食料品などは0%、フランスは19.6%に対して5.5%となっており、日本でもこうしたしくみの導入を求める声が上がっています。


Q2

2012年12月の総選挙は、最高裁判所が違憲とした「一票の格差」が改められないまま実施されました。最も格差の大きい2つの選挙区を比較すると、約何倍になる?


A.約1.4倍
B.約2.4倍
C.約3.4倍


A2 正解は 「B.約2.4倍」 です。


選挙で有権者が投じる一票の価値は、誰もが同じであることが原則です。しかし、実際にはそれが守られておらず、2011年には最高裁判所が、最大の格差が2.3倍だった2009年の総選挙(衆議院議員総選挙)について、「憲法に違反している」と判断しました。

国会でも、この問題を改善するべく議論が続けられ、2012年11月に、各選挙区で1人ずつの議員を選ぶ小選挙区で、議員定数を計5つ削減し、増加は行わない「0増5減」にすることが決まりました。しかし、直後に行われた2012年12月の総選挙は、決定が反映されないまま行われました。高知3区では有権者が約21万人に対して千葉4区では約50万人で、約2.4倍の格差がありました。こうしたことから、憲法違反で選挙は無効とする意見も出ています。


Q3

2012年9月、自民党総裁選で新総裁に選ばれたのは?


A.安倍晋三氏
B.谷垣禎一氏
C.石破 茂氏


A3 正解は 「A.安倍晋三氏」 です。


2012年9月に、民主党と自民党の2大政党のトップを決める選挙が行われました。民主党代表選は、野田首相が再選されました。自民党総裁選では、当時、現職だった谷垣禎一氏は立候補しませんでしたが、5人が立候補し、国会議員と党員による投票の結果、石破茂氏が199票でトップに立ちました。しかし、過半数に達しなかったため、141票で2位だった安倍晋三氏との決選投票が行われました。決選投票は国会議員だけで行われ、その結果、108票の安倍氏が89票の石破氏を破り、逆転して新総裁に選ばれました。

安倍氏は2006年にも自民党総裁となり、首相を務めましたが、2007年に体調不良等の理由で辞任しました。しかし、その後、健康も回復したとして再び総裁選に立候補しました。一度辞任した総裁が再び選ばれたのは、自民党総裁選史上初めてのことです。その後、12月の衆議院議員選挙で自民党が第一党となって民主党からの政権交代が実現し、安倍氏は首相にも再び就任しました。


Q4

2012年9月に「日本維新の会」が結成された際、代表となったのは?


A.橋下徹氏
B.石原慎太郎氏
C.松井一郎氏


A4 正解は 「A.橋下徹氏」 です。


日本維新の会は、2012年9月、大阪の地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹・大阪市長を代表、松井一郎・大阪府知事を幹事長として結成された国政政党です。

橋下氏は弁護士やタレントとして活躍した後、政治家を志して2008年の大阪府知事選に立候補して当選。大胆な財政再建などに取り組み、地方分権をめざして、大阪市と周辺の市を合わせて東京都の23区のような特別区を設置する「大阪都構想」や、現在の都道府県を廃止して全国に道や州を置く「道州制」などを唱え、2010年に大阪維新の会を設立。2011年には大阪府知事を辞めて大阪市長選に立候補し、当選しました。

2012年9月には日本維新の会を設立。12月の総選挙で国政進出をめざした日本維新の会には、民主党や自民党を離党した国会議員も参加し、前東京都知事の石原慎太郎氏の太陽の党が合流して、民主党と自民党の2大政党に対抗する「第三極」といわれました。12月の総選挙では公示前の11議席から大きく増やす54議席を獲得し、第三党となりました。


Q5

2012年12月の総選挙で、民主党の獲得議席数は?


A.57議席
B.230議席
C.294議席


A5 正解は 「A.57議席」 です。


民主党は、2009年8月の総選挙で308議席を獲得し、自民党からの政権交代を実現しました。その時に国民への公約として掲げたマニフェストには、「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズのもと、無駄な公共事業の見直し、月2万6000円の子ども手当の実施などの政策が記され、消費税は今後4年間は上げないとしていました。

民主党政権は、事業仕分けなどを通じてこうした政策の実現に取り組みましたが、思うようには進まず、鳩山由紀夫首相から菅直人首相へと交代しました。2011年には東日本大震災が起きて日本全体が打撃を受け、復興に向けたさまざまな課題に直面する中、菅首相から野田佳彦首相へと交代しました。

2012年、野田首相は、国家の財政を立て直すため、政権交代時の方針を転換し、消費税を上げる政策を打ち出しました。これに対して民主党内でも反発の声が上がり、7月に小沢一郎・民主党元代表を中心に、衆議院議員37名と参議院議員12名の計49名の国会議員が党を離れて、小沢氏を代表とする「国民の生活が第一」という新しい政党を設立し、民主党は分裂しました。

野田首相は消費税増税を実現するため、2012年8月の国会で自民党に協力を呼びかけ、衆議院の解散を約束し、実際に消費税増税を柱とする法案が成立しました。その後衆議院の解散が実現し、12月に総選挙が行われました。総選挙は、消費税の他、「原発の是非」「TPP」「復興対策」「国全体の景気対策」などを争点に戦われ、自民党が118議席から大きく増やして過半数の294議席を獲得。民主党は230議席から57議席と大きく減らし、民主党から自民党への政権交代が実現しました。国民の生活が第一は、11月に「日本未来の党」と合流して総選挙に臨みましたが、同党は61議席から大きく減らして9議席にとどまりました。
野田氏は衆議院議員選挙敗北の責任をとって民主党代表を辞職し、代表選挙の結果、海江田万里氏が新代表に選ばれました。


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