難関国立大学への進学は公立が有利? 中高一貫校の大学合格実績を専門家が分析
中学受験の志望校に、中高一貫校を検討されているご家庭も多いだろう。私立の中高一貫校(以下、私立)と公立の中高一貫校(同、公立)にどのような違いがあるのか。独自の方法で中高一貫校の大学合格実績を比較した森上教育研究所の森上展安氏に、私立と公立の特徴を聞いた。
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調査対象になる中高一貫校は、開校してから6年以上経過して卒業生を出していることが条件ですが、首都圏で卒業生を出している公立は、東京都の5校のみでした。森上教育研究所では、公立5校の難易度から該当する私立7校を選抜し、2012年の卒業生100人当たりの大学合格実績を調べました。
これによると、卒業生100人当たりの東大・京大・一橋大・東工大合格者数は、公立のほうが多く優れた合格実績でした。一方、早大・慶大・上智大合格者数では、私立の平均は44.5人で、公立の平均35.4人を大きく上回りました。私立は難関私立大学に、公立は難関国立大学に強いという特性があるようです。もちろんそれぞれの学校で、国立大学や私立大学に強いという特性は異なりますので、注意してください。
もう一つ興味深い調査結果を紹介します。入学時と卒業時の学力の差を計算した数値から、私立と公立、どちらが学力を伸ばしているかを分析しました。難関国立大学合格者のデータを見ると、公立に学力を伸ばしてくれる学校が多くありました。逆に難関私立大学合格者では、私立に学力を伸ばしてくれる学校が多いようです。
特筆すべきは、難関国立大学合格者の入学時と卒業時の学力の差が、公立で非常に大きく伸びていることです。受験に直結する5教科の授業時間が私立に比べて少ない中で、大きく学力を伸ばした教育は評価すべきでしょう。