算数における「偏差値55の壁」[中学受験]

「理論」はあとからついてくる

「算数は『理論』よりも、まずは『暗記』である」と前に述べた。
この考え方は決して間違いではないと思うが、ここでもう一言付け加えるとすれば、「『理論』はあとからついてくる」ということである。
つまり基礎的な知識がないうちは、いくら理論的に考えようとしてもあまり意味がなく、まずは解法の「道すじ」を暗記することが大切であり、解法の「道すじ」を間違いなくたどれるようになれば、今度はその「道すじ」の「理屈」がわかってくるということである。
あるいは、その「理屈」を考えようとしないと、それ以上の理解を深めることができないと言って良いかもしれない。偏差値52、3の生徒と偏差値60弱の生徒を比べた場合、「理屈」を考えているかいないかの差が激しいので、この差を称して「偏差値55の壁」と個人的に呼んでいる。

「理屈」と「理由」

「理屈」とか「理由」とかをもう少し具体的に言うと、「なぜそんなことをするのか、わかるか?」ということである。
偏差値52、3の生徒は、極端に言えば何も考えずに解法の「道すじ」を再現しているだけであり、少しひねった問題を出されると途端にどうしてよいか不安になる。
逆に、理屈を考える生徒はそのような問題が出されても前の問題における解法から類推して、正解を導き出せる場合が多い。
子どもが理論的に考えているかどうかを確認するには、たとえスラスラ解いた問題であったとしても、「何で式がこうなるの?」というような問いに答えられるかどうかでわかる。
理論的に考えていない生徒は、自分で何をやっているのかよくわからないで答えを出しているのだから、「よくわからない」という答えしか返ってこないはずである。
しかし繰り返しになるが「よくわからないで解いている」こと自体は、決して悪いことではない。

「何をやろうとしているのかわかっている」ことが重要

算数の学力が上がる過程においては、このような状況は一つのステップとしてあってしかるべきなのである。問題があるとすればいつまでもこのレベルにいることであり、「偏差値55の壁」を越えるためには、問題文の内容を理解して図や表などに表現できたり、それらを数式で表すことができたりするようになる必要がある。
もちろんすべての解法の流れを理論的に説明できない場合もあろうが、少なくとも「何をやろうとしているのかわかっている」ことが重要なのであり、ここで初めて算数も「理論」であるという域に達するのであると思う。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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