読書が苦手な下の子。上の娘は読書好きなので、何がいけなかったのか考えてしまう[中学受験]
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
質問者
小5男子(性格:大ざっぱなタイプ)のお母さま
質問
読書が国語力の礎(いしずえ)だと思うのですが、苦手です。本は一緒に書店で選んだりするのですが、読書感想文など必要に迫られた時にしか読みません。5歳年上の娘は読書好きなので、何がいけなかったのか考えてしまいます。
小泉先生のアドバイス
同じように接しても同じように育てることはなかなか難しい。
「何がいけなかったのか」という文面からは、5年生の下の男の子への接し方に対するとまどいが感じられました。他の兄弟姉妹と同じように愛情を注いで育てたつもりなのに、なぜかその子は違うように育ってしまう。
このようなことは往々にして起こるようです。他のお母さんからもよくそのようなお話を伺いますし、私が自分の子どもたちを育てる過程でも幾度となく感じてきたことです。そしてその理由をその都度考えるのですが、結論としては「子どもの受け止め方もそれぞれ」ということだと思います。
一人っ子ならともかく、子どもが何人かいると、平等に愛情を注ぎたいと思うのは親の気持ちでしょう。昔は「長男」を家の跡取りとして別格に扱いましたが、今は平等主義が一般的です。ですから、平等に接しているつもりなのに、結果が違ってくると「なぜ?」という思いがどうしても出てきてしまいます。
しかし、同じように接しても同じように育てることはなかなか難しいようです。なぜなら、子どもは長男、長女、次男、次女など、まずはきょうだいの中での立場が違います。さらに、それぞれの性格や資質が違いますから、同じことを同じように言われても受け取り方が違ってきます。これは考えてみれば当たり前のことですが、経験してみないとなかなか気が付かないことかもしれません。
たとえば、ある子どもにとっては一生懸命作ってもらったお弁当が心に響くことであるのに対して、ある子どもにとっては一緒に絵本を読んでもらえることが母親の愛情を感じることだったりするということです。つまり、上のお子さまと同じように接しても、必ずしも同じように喜んだり、あるいは興味を持ったりしない場合があるのです。
これは、先生が生徒を指導する場合も同じです。よい先生なら、わかりやすい授業を心がけるでしょう。そのクラスのレベルに合った、いちばんわかりやすい説明をしようとするはずです。それでも理解の度合いは生徒の性格や資質によってさまざまでしょう。ある程度難しい内容なら、理解が足りない生徒が何人か出ることは無理のないことだと思います。しかも、それらの生徒がつまずいている箇所はおそらく1つではなく、いくつかに分かれるはずです。よい先生は、懸命に準備し、最善の授業をしても、それでもわからない生徒は出る可能性があるというぐらいの謙虚な気持ちを持つべきでしょう。
そして、これはご家庭で親が子どもに接する時も同じだと思います。兄弟姉妹の中での立場や個々の受け止め方は違うのですから、対応に少しずつ違いを持たせるのか、あるいはそうしないのかはご家庭の方針によるでしょうが、少なくとも受け止め方が違うということがわかっていれば、「同じようにしているはずなのに……」という悩みは消えることでしょう。子どもはそれぞれ違う、だからよいのだと思えるほどの気持ちのゆとりが持てるようになるかもしれません。