「入りやすくてお得な学校」が入学・卒業の比較から見えてくる[中学受験]
今回はリーマンショック後の3年間で、どれだけ受験者数が増減したかを分析してみよう。2009(平成21)年受験者数を100%としたとき、2012(平成24)年受験者数増減率(H21→H24)は首都圏全体で83%となる。平均で17%というのは大幅な減少と言える。調べてみるとH24受験者数増減率が70%以下の学校が39%もある。
中学入試全体では、3年前の2009(平成21)年と比べれば、全体としては、入学しやすくなっていると思うが、本当にそうか、難易度ランクごとに検証してみよう。確かに、Fランクは受験者数増減率60%、Gランク校は57%と3年間で40%以上も受験者数が減少したことになり、このランク校の学校を個々に見ていくと、半減している学校も珍しくない。しかし、Cランク校は、受験者数増減率102%と受験者数が増えている。Cランク校以外では、受験者数増減率が100%を超えておらず、Aランクでも91%、Bランクでも84%と減少している。「付属進学」「所在地」についても同様で、受験者数増減率は大いに異なる。さらに詳しく学校種別・難易度ランクのようなレベルで調査すると受験者数増減率の違いは大きくなることが表でわかる。このように、分類してみると、極端に入学しやすくなっている学校もあるが、それほど入学しやすくなっていないどころか、受験者数増減率が100%を超えて入学しづらくなっている学校もあることがわかる。
【過去3年間の受験者数増減率 平成21年 → 平成24年(平成21年を100%としたとき)】
注1)難易度ランクA~Hは四谷大塚の偏差値。65以上はA、64~60はB、59~55はC、54~50はD、49~45はE、44~40はF、40未満はG、Hは非エントリー校
注2)「半付属校」とは、系列大学への推薦進学が30~69%の学校
これは、学校単位でも同様で、大幅に受験者数が減少しているランクの中でも3年間の受験者数増減率が100%を超えている学校がある。受験者数が増加する要因はいくつかあるが、その中で最も大きな要因は大学受験合格実績だ。大学受験合格実績が向上すると受験者数が増加し、偏差値も上がるが、合格実績は向上しても偏差値も上がらない学校も見受けられる。
そのような学校があるのかグラフで検証してみよう。大学合格実績が高い学校は、それだけ教育の質が高いということで人気が出て、偏差値も上がる。合格実績と偏差値の関係があることはグラフを見ても明らかだ。偏差値60を超える学校は早慶上智の合格実績を基準とするが、ここでは、偏差値60以下の学校の分析なので、GMARCH(学習院・明治・青山・立教・中央・法政)を基準とした。
グラフでは、偏差値と合格実績の関係で、一部の中学校には偏差値の割に合格実績が高い「お得な学校」があることを理解してもらうために、例として神奈川県の女子校を挙げた。「5」「14」「15」は偏差値の割に合格実績が高い学校でお得な学校と言える。たとえば、「14」の◆を右に線を伸ばすと近似曲線と交わり、「2012(平成24)年首都圏模試予想偏差値」の値は、偏差値52になる。つまり「14」は偏差値53だったが、偏差値56.5の学校に匹敵する価値があることになり、「お得な学校」と言える。このグラフを見ると17校中3校がお得な学校となっている。よく探せば、お得な学校を見つけることができる。
【お得な学校 神奈川の女子校(偏差値60以下)】