国交正常化40周年を迎えた日本と中国の歴史と現在を知る

2012年は、日本と中華人民共和国(中国)の国交正常化40周年にあたります。日本と中国はこれまでの歴史の中で、政治や文化などさまざまな面で交流を続けてきました。現在も、いくつかの問題を抱えながらも、2つの国は互いに強く影響し合っています。節目の年を迎えた直後の2013年の中学入試では、多くの学校で両国の関係が取り上げられることが予想されます。そこで今回は、そんな日本と中国の歴史と現在について解説しましょう。



クイズde基礎知識

遣隋使として日本から中国に渡ったのは?/日明貿易と最も関係があるのは?/
日中国交正常化の際の出来事は?/八重山諸島の北方にあり、中国や台湾も領有権を主張している島々は?


時事問題を学ぶきっかけになる題材をクイズ形式でご紹介します。基本情報の整理に、親子で時事問題について話題にするきっかけに、入試・適性検査対策に、お役立てください。

Q1

7世紀初め、遣隋使(けんずいし)として日本から中国(隋)に渡ったのは?


A.小野妹子
B.阿倍仲麻呂
C.鑑真


A1 正解は 「A.小野妹子」 です。

581年、長い間分裂していた中国を、隋という国が統一しました。その頃、日本(倭国:わこく)で推古天皇の摂政となった聖徳太子は、隋との国交を開こうと考え、Aの小野妹子らを隋の都に送りました。これを遣隋使といいます。

隋の記録によると、その時、小野妹子が隋の皇帝に渡した手紙には、「日出(いず)るところの天子、書を日没するところの天子にいたす」と書かれていました。これは、日本は伸びていく国で、隋は衰えていく国だと解釈できるため、また倭王が「天子」を名乗ったために隋の皇帝は大いに怒ったといわれます。

618年に隋に代わって唐が中国を統一すると、隋の時代と同じように日本から使節が派遣されました。これを遣唐使といいます。遣唐使はその後約260年の間に何度も海を渡り、留学生や留学僧によって、唐の進んだ文化が日本にもたらされました。

Bの阿倍仲麻呂は遣隋使ではなく遣唐使として唐に渡り、唐の役人となった人物で、帰国しようとした船が難破して日本に戻れず、唐で一生を終えました。Cの鑑真は唐の僧で、帰国する遣唐使船に乗って日本に渡ろうとして何度も失敗し、目が見えなくなりながらもあきらめず、ついに来日して仏教の制度などを日本に伝えた人物です。


Q2

室町時代に日本と明との間で行われた日明(にちみん)貿易(勘合貿易)と最も関係があるのは?


A.元寇(げんこう)
B.倭寇
C.盧溝橋(ろこうきょう)事件


A2 正解は 「B.倭寇」 です。


14世紀半ば、西日本の漁民などを中心とする海賊が朝鮮半島から中国大陸の沿岸を襲い、「倭寇」と呼ばれて恐れられていました。1368年に中国を統一して建国された明の第3代皇帝・永楽帝は、日本の室町幕府に対して倭寇の取り締まりを求めました。当時の将軍・足利義満はこの要求を受け入れて倭寇を禁じ、明との貿易を始めました。この時、正式な貿易船と倭寇とを区別するために勘合符と呼ばれる札を使ったことから、この貿易を勘合貿易ともいいます。

当時の中国と周辺の国々との貿易は、周辺の国が明の皇帝に貢ぎ物を差し出し、明の皇帝が周辺の国に土産物を与えるという朝貢貿易の形で行われていました。日明貿易も朝貢貿易として行われ、足利義満は明の永楽帝から「日本国王之印」を与えられています。

Aの元寇は、蒙古(もうこ)襲来・モンゴル襲来ともいい、室町時代より前の鎌倉時代に、当時中国を統一していた元が2度にわたって日本を攻めてきたことをいいます。Cの盧溝橋事件は、1937年に中国・北京郊外の盧溝橋で起きた日本と中国との軍事衝突で、これをきっかけに日中戦争が始まりました。


Q3

1972年に日中の国交が正常化した際の出来事として正しいのは?


A.日本の佐藤栄作首相と中国の周恩来首相との間で日中共同声明が発表された
B.日本と台湾との間でも日華平和条約が結ばれた
C.中国から日本にジャイアントパンダが2頭贈られた


A3 正解は 「C.中国から日本にジャイアントパンダが2頭贈られた」 です。


1945年、アジア・太平洋戦争の敗戦のあと、日本は、1951年のサンフランシスコ平和条約によって独立を回復し、アメリカをはじめとする48か国との間で国交を回復しました。しかし、当時は中華人民共和国(中国)と中華民国(台湾)とが対立していて、どちらを認めるか、世界の国々の間でも意見が分かれていたことなどから、中国も台湾もこの条約には参加しませんでした。その後、日本は台湾とは1952年に日華平和条約を結びましたが、中国とは国交が結ばれない状態が続きました。

しかし、1972年、日本の田中角栄首相と中国の周恩来首相が調印した日中共同声明が発表され、日本と中国との国交が正常化されました。そしてこの年、国交正常化の記念として、中国から日本の上野動物園に2頭のジャイアントパンダ(カンカンとランラン)が贈られ、日本中にパンダ・ブームが起こりました。2011年には再び上野動物園に2頭のジャイアントパンダ(リーリーとシンシン)がやって来て話題となり、2012年には生まれたばかりのパンダの赤ちゃんが亡くなるというニュースもありました。

なお、日中共同声明によって日本は中華人民共和国を中国唯一の合法政府と認めたため、日華平和条約は破棄されましたが、日本と台湾との民間レベルでの交流は続いています。


Q4

八重山諸島の北方にあり、中国や台湾も領有権を主張している島々は?


A.尖閣(せんかく)諸島
B.北方領土
C.竹島


A4 正解は 「A.尖閣諸島」 です。

尖閣諸島は、八重山諸島の北方にある島々で、沖縄県石垣島に属しています。日本は1885年から現地調査を始め、ここが無人島であり、どこの国の領土ともなっていないことを確認し、1895年に日本の領土に編入しました。しかし、1971年、中国は尖閣諸島について書かれた古文書の発見などを理由に領有権を主張し始めました。また、台湾も同じ理由などから領有権を主張するようになり、争いが続いています。

2010年には、中国の漁船が尖閣諸島内の日本の領海に無断侵入して海上保安庁の巡視船と衝突し、船長が逮捕されたものの、この後、日本企業の社員が中国で一時、身柄を拘束されるなどしたため、日中関係に考慮して船長が釈放されるという出来事がありました。2012年には、東京都の石原慎太郎知事が尖閣諸島を東京都が地権者より買い取ることを表明するなど、話題となりました。

Bの北方領土は、アジア・太平洋戦争後にソ連(のちロシア連邦)が占領した国後(くなしり)島・択捉(えとろふ)島・歯舞(はぼまい)諸島、色丹(しこたん)島のことで、日本がロシアに領有権返還を求めています。Cの竹島は、隠岐諸島北西にある島で、島根県に属していますが、韓国も領有権を主張しています。


子育て・教育Q&A