第一志望の学校に入れなかった子どもに保護者はどう接するべきか
1つの学校に通う生徒の定員が決められている限り、受験において第一志望校に進めないというケースは今後もなくならないだろう。受験勉強を始めた当初に思い描いていた学校に入れず、本当は通いたくない学校に通わなければならないということは、誰にでもあるのだ。
***
もし、自分の子どもがそうなってしまった場合、保護者はどう振る舞うべきなのか。安田教育研究所の安田理氏によれば、「近所の人に興味本位に子どもの入学先を聞かれるのがいやだ」「校名を言いたくない」「我が子を入れたかった学校の制服を見たくない」といった心理状態に陥ってしまう保護者もいるそうだが、同氏は「保護者のかたにすれば、いろんなことを犠牲にしてやってきていればいるほどショックは大きい」と理解をしたうえで、次のように指摘、解説する。
「保護者のかたがいつまでもこうした思いを引きずっていると、『親をこんなにも悲しませてしまった』と、自分が不合格だったこと以上にお子さまを苦しませることになります。入学する学校にも誇りを持てず、それは入学後の友達関係、学校生活にも尾を引き、勉強に身が入らないことにもつながります。
進学先が希望していたところではなくても、お子さまがここまで努力してきたこと自体を褒め、努力を認めることこそが高校入学後のお子さまの『原動力』になります。入試が終わったら、頭の中から偏差値は消してください」
これに加え安田氏は、保護者が「学歴・勤務先で人を見ない」という振る舞いを日頃からしていることが、子どもが進学先に劣等感を持たなくてすむことに繋がってくるという。
また、高校の教員と話す機会がしばしばある安田氏は、最近の生徒の「自尊感情の低さ」についてよく耳にするそうだ。
「受験生活の中で、勉強の成績だけに価値を置かれ、テストの点が悪かった、塾のクラスが下がった……そうしたことを言われ続けてきたことの蓄積が自尊感情の低さにつながっています。これまでは、なんとしても合格させたいという思いから、お子さまの弱点にばかり目がいっていたと思います。ですが、これからはお子さまのいいところばかりを探し、それを評価してあげてください」(安田氏)